保育園が終わる時間、迎えに来た祖父の自転車が
私を乗せたまま家に向かわず街中のバス発着所の方へ
坂を下っていくと、それだけでワクワクしたのを思い出す。
向かう先は長野市内にあったデパートの屋上遊園地。
月に1度か、2か月に1度くらいだったろうか。
田舎暮らしの私にとって最高のご褒美だった。

きょうの「ゆうがたGet!every.」に登場した
昭和48年の長野丸光のモノクロ写真は、
遠い日の祖父の思い出が重なって見えた。
回る珈琲カップ、ミニゴーカート、スマートボール。
かつての屋上遊園地があったビルはすでになく、
今は老舗放送局の巨大なアンテナが街並みを見下ろしている。
「おうまがとき」と読むのだそうです。
日が暮れかかり、昼と夜が入れ替わる時間。
そんな時間帯には魔物が潜む、と昔の人は考えました。
人が神隠しにあったり、不慮の事故にあったり......。
英語でいうところの「トワイライトゾーン」です。

交通事故の資料を紐解いていたら「魔の7歳、魔の16歳」という
言葉を見つけました。7歳=小学1年生、16歳=高校1年生。
年齢別でみた統計で「歩行中」「自転車乗車中」の事故が
それぞれ突出して多いのだそうです。
✽
小学1年は、親御さんの送り迎えの園生活を終え、
子供だけで登下校を始める年齢。
高校1年は、小中時代の身近な行動範囲を一気に広げて
何キロもの道程を自転車で通い始める時期。
ともに生活環境・交通環境が大きく変わる年齢です。
「私は自転車で片道8kmくらいを通ってました」
とは稲葉陽子アナの高校時代の体験談。
かくいう私も長野市から千曲市(当時は更埴市)の高校へ
市境を跨いだ越境通学をしていました。
✤
もうひとつの共通点は、事故の7割が登下校時に起きていること。
子供たちには、朝の登校も含め「逢魔が時」が潜む時間が
多いのだということを実感します。
さて、そろそろ日が暮れます。大人も気を付けないと。
(きょうの『ゆうがたGet!every.』解説より)

歴史好きな方は、再現された土塁の形と松の樹を見ただけで
この場所がどこだか分かるんだとか。
真田家の居城、長野市の松代城跡(通称・海津城)。
何を隠そう、私の生まれ育った町でもあります。

その松代町でロケした映画『陽が落ちる』(柿崎ゆうじ監督)が
きのうから劇場公開されています。
映画の見どころを紹介した事前番組のナレーターを、
僭越ながら私がつとめているのですが(下・収録時の写真)

TVerで配信中の番組再生数が、3月末で9000再生を超えました。
‟松代人"のひとりとして何とも嬉しい限りであります。

ロケ地をあらためて訪ね歩く監督と俳優さんを
ナレーター兼ナビゲーターとしてご案内したのですが、
その皆さんの「松代愛」の深いこと。
地元民の私なんぞ足元にも及ばないほどで!
主演の竹島由夏さん、笹田優花さんの凛々しさと
柿崎監督の歴史への造詣が番組を引き締めて下さっています。
✤
🌤映画『陽が落ちる』:長野グランドシネマズ他で上映中
🌤番組『映画と歴史のまち 信州まつしろロケハン旅』はTVerで配信中
どちらも是非!
子供の頃、共働きだった両親がよく口にしていた。
「長く使うもの、イイものを買おうと思った時は、
長野ならあの店とこの店。松本だったらこことそこ......」。
今週月曜で閉店した松本駅前の「井上本店」は、
そのうちの一軒であったと記憶する。

所用で松本市内へ出かけたきのう、店舗前まで足を延ばしてみた。
シャッターが降り、人通りのほぼない舗道はやはり寂しかった。
◇
私は憶えていないのだが、公務員を定年退職した当時の母が
「昔、あなたを連れて松本までスーツを買いに行ったのよ」
と懐かしそうに話していた。
店が人の流れを作り、街の顔も作っていく。
その店がなくなることは、街の顔も同時に変わることを意味する。
母の記憶の中にある松本駅前は、どんな顔をしていたのだろう。
いつか訊いてみたい気がする。
画面の中は一面の雪原、ではありますが、
それでも春の空気感がそこはかとなく伝わります。
きょうの『ゆうがたGet!every.』で放送した
恒例の登山企画「テッペンいただきます!」は、
早速TVerでの配信が始まっています。

ナレーション収録中のワタクシも、春らしい軽装で(写真)。
が!この数日後に季節外れの寒の戻りに見舞われ、
放送当日のきょうまで身の縮む思いでこごえています。
週間予報を見れば、まだ数日先に雪のマークが。
テッペンも平地も、春はちと足踏みしているようであります。