※本記事は『大人のいじめ』(坂倉昇平)の抜粋です。 若者を「死なせても良い」労務管理が広がった 外食や小売のチェーン、ITなどの広義のサービス業界において、企業が利益を拡大するには限界がある。限定された職務のため、技術革新や労働者の能力開発で、製造業のように生産性が上がるわけではない。ここでは、労働者を「できるだけ安く・長く」働かせることが、利益につながる。そのために編み出された方法が、以下のような労務管理だ。 まず、正社員として大量に採用された若者は、入社まもないうちから長時間労働や大量の業務を命じられる。ここで、労働者は早期に選別される。「使える」労働者、つまり長時間労働、未払い残業、ハラスメントを伴う業務に精神的・身体的に耐えられ、会社に対して不満を言わずに従順に働く者だけが残され、耐えられない労働者は退職していく。 選別を「生き延びた」労働者は、消耗品のように、その心身の限界まで働
