東京を代表するお屋敷街である田園調布で分譲が開始されたのは1923年8月(大正12年)。関東大震災の1カ月前である。それ以来90年余、街並みは変わらないように見えているが、当時建てられた住宅のほとんどは建替えられており、当時をしのばせる住宅はごくわずか。1925年(大正14年)に建てられた大川邸のように、小金井市にある江戸東京たてもの園に移築、展示されている住宅もあり、当初からの面影を残す住宅は貴重な存在なのである。 だが、そんな貴重な建物のうちの1軒が2014年12月に売却された。今後、おそらくは解体予定である。設計者、正確な築年数は分からないと言うものの、おそらくは田園調布そのものと同じくらいの歴史があるはず。江戸東京たてもの園の大川邸より古いかもしれない建物で、2000年2月には登録有形文化財(建造物)になっている。 文化庁の文化遺産オンラインにある文化遺産データベース上で該当物件の
