歴史資料には真贋論争が起こることがあります。弥生時代に、日本の国王が中国の皇帝から授かったといわれる「漢委奴國王」金印もそのひとつです。そこで、いま実際にある金印という資料そのものを詳細に検討し、確かな情報を提供する研究が、本学の教授によって行われました。 「漢委奴國王」金印は江戸時代に作られたのか? 「漢委奴國王」金印は、日本史の教科書に必ず登場するので、多くの人によく知られた歴史資料だと思います。 そもそも、AD1世紀から3世紀にかけて中国を治めた後漢の時代の出来事を記した「後漢書」の中に、建武中元二年(西暦57年)に、日本(倭)の奴という国から貢ぎ物を持った使いが来た、という内容の記載があります。 それに対して、ときの光武帝は印綬を授けたとあります。印とは、はんこのことで、綬とははんこに通す紐のことです。 つまり、弥生時代の日本人が中国まで行き、皇帝と交渉したということで、これは、日
