日本ではあまり大きく報じられていないが、中国と豪州のマスコミでは大騒ぎになっているらしい。中国当局は「拘束には十分な証拠がある」と主張する。 しかし、オーストラリア側では、親中派といわれるラッド首相すら中国側の対応に「世界が注目している」と懸念を表明するなど、泥仕合の様相を呈しつつある。 内外メディアの多くは、中国・豪州外交関係、国際鉄鉱石市場を巡る暗闘、中国でのビジネスリスクなどに焦点を当てている。しかし、この事件は政経一体の「中国株式会社」、特に、その陰の部分が垣間見えるという意味でも実に興味深いものだ。 容疑者は天安門事件デモ参加者 まずは、現在までに報じられた事実関係をまとめてみよう。 (1)本年(2009年)7月5日、中国国家安全部上海支局は、英豪系の資源最大手 Rio Tinto (リオ・ティント、以下リオ社)上海事務所の4人の社員を「スパイ」容疑と「国家機密」を「贈賄」により
