当連載は、日本在住15年の〝職業はドイツ人〟ことマライ・メントラインさんが、日常のなかで気になる言葉を収集する新感覚日本語エッセイです。 名詞「 教養 」 「マライさん、日本のいま(2020年代半ば)の言論状況のヤバさの根本には、何があると思いますか?」 「あくまで私見ですが、【知識人】がいっぱいいる割に【教養層】が激薄あるいは存在しないことがポイントのように感じます」 ここでいう教養層とは何なのか。そもそも「教養」の、特にネット言論的に有効な意味とは何か。 教養の定義についてネット検索してみると、「品位や人格性の向上と連動させる形で学問的知識を修めること」が、無難なイメージとして社会的に共有済みであることが窺える。これは「上品で思考バランスの取れた知識人が有する知的スタンス」と言い換えることが可能だろう。そしてそれは、残念ながらこの時代の「高度な反知性」と目されるネガティブ系文化・言論活
