コーヒーテーブルブックの出版、美術館による収蔵、セレブリティとのコラボレーション、著名なコレクターたちによる購入──ティーンになったばかりの「天才」アーティスト、13歳のアンドレス・バレンシアに対するアート界の注目度は、高まる一方だ。

バレンシアは2021年、アートフェア「アート・マイアミ」に個人でブースを設置する最年少のアーティストとなった。キュビズムに触発された大型の肖像画はすべて、すぐに買い手がつき、会場でカリブ海諸国出身のアーティスト、ブラッドリー・セオドアと行ったライブペインティングには、大勢の人が集まった。一言でもバレンシアと言葉を交わそうとする人たちが長い列を作り、これから制作される作品を手にいれようと、予約リストに名前を残した。
それから1年後、フィリップス香港が行ったオークションに出品されたバレンシアの「Ms. Cube」には、落札予想価格の20万~40万香港ドル(約380万~760万円)を大幅に上回る126万香港ドル(約2400万円)の値が付けられた。
そして、ペンギンランダムハウスは2025年2月18日、「Andres Valencia: Painting Without Rules」を出版した。おかげでアート作品の購入に10数万ドルも費やすことができないという人でも、独学で技術を身につけたバレンシアの制作の過程を垣間見ることができる。
米紙ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに入る書籍の編集を手掛けてきたアレクサンダー・M・リグビーとの共著であるこの画集は、混ぜ合わせた絵の具とオイルパステルのスケッチなども含め、ピカソやジョージ・コンド、フリーダ・カーロらに影響を受けたバレンシアの想像から生まれた、活気に満ちたフィギュラティブなナラティブに驚かされる一冊となっている。
5歳から活動、チャリティにも参加
バレンシアが絵を描き始めたのは、5歳のとき。アート・マイアミに出展したときにはまだシャイな男の子だったものの、昨年5月に出演した米トーク番組、「ジミー・キンメル・ライブ」での様子を見ると、ずいぶん自信をつけてきているようだ。人前で話すことに苦労するアーティストも多い一方、13歳ながら、すでにそのスキルに磨きをかけ始めているように見えた。
作品の価格について質問された彼は、「決めるのはギャラリー」だと回答。「もう少し高くして、と頼むことはないのか」というキンメルの問いにも会話のペースを落とすことなく、落ち着いた様子で「ない」と答えていた。