CLOSE

4月から始める、自己実現のための手帳術(全3記事)

手帳を買っても続かない3つの要因と解決策 忙しくても「書く時間」を作れる1日15分の習慣

「目標を決めてもいつも挫折してしまう」「やりたいことがあるけど時間がなくてできない」そんな悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。今回は、『決定版 手帳で夢をかなえる全技術』著者の高田晃氏にインタビューしました。本記事では、忙しくても「書く時間」を作れる1日15分の習慣についてお届けします。

進捗確認と目標設定を見直す「振り返り」の習慣

——前回、高田さんの実際の手帳をもとに、具体的な書き方を解説していただきました。著書『決定版 手帳で夢をかなえる全技術』では、書いたことを振り返りするのが大事だと書かれていましたが、その辺りを詳しくおうかがいできますか?

高田晃氏(以下、高田):はい。振り返りの話をするにあたって、ちょっと前提となる説明が必要になります。先ほど、目標を立てたら、それに対してどうやって達成するのかという「行動計画に落とし込む」というお話がありましたよね。ただ前提として、目標も計画も仮説なんですよね。

どういうことかというと、「自分はこういう将来を目指しています」「その将来に向けて、まずは今年1年はこれを目標にします」と決めたとします。ただこの時、「1年でこういう目標をクリアすれば、自分が掲げている理想に近づくだろう」という仮説にすぎないんですよね。

その1年の目標を達成するための、「じゃあ、今月はこれをやろう」「来月でこれをやろう」という行動計画も仮説にすぎないんですよね。つまり仮説だということは、「本当に当初に考えていた仮説でいいのか」を確認する検証が必要で、それを僕は「振り返り」と呼んでいます。

なので例えば、月末になったら「今月の目標の達成度合い」をまず確認します。それと同時に、「この目標設定で本当にいいんだっけ?」という観点で仮説検証が必要です。

どう検証するかというと、もともと立てていた「今年中にこれを達成する」という1年間の目標に対して、「今月1ヶ月でどこまで近づけているか」という進捗確認をします。そうすると「今月はこれをがんばればいいと思ってやってきたけど、ちょっと違うかも」というケースもあったりします。

そうしたら、「何が違うのか?」というのを踏まえて、来月の目標を立てる。はたまた「当初考えていたとおり、この調子で良さそうだ」となったら、それを踏まえて、「じゃあ、来月はどうする?」と次の月の計画を立てます。これが1ヶ月単位での振り返りですね。

週末に1週間単位の振り返りをする

高田:同様に、1週間単位の振り返りでは、もともと立てていた1ヶ月の目標に対してどれぐらい進捗があったのか、「ちょっとこういうことを変えていかなきゃいけないかもしれない」とかを振り返ります。

あとは、「『当初今週でこれをやる』と言っていたけれども、ちょっと体調を崩してできなかった」とかも踏まえて、「じゃあ、来週はこうしよう」という来週の計画を立てるのが1週間単位の振り返りですね。いわゆる振り返りをしてPDCAを回していきましょうということです。

——高田さんはどういうタイミングで振り返りをしているんですか?

高田:1週間単位であれば、週末に1週間を振り返って来週どうするかを決めます。これと同じような観点で、月単位の場合は月末、もしくは月初でもいいと思います。

また、先ほど触れましたが、僕は3ヶ月単位でも目標を立てているので、3ヶ月単位の場合は、その四半期の最後の月の月末です。例えば3月末は、1、2、3月という3ヶ月が終わる節目なので、3月末にこの3ヶ月を振り返ります。そしてまた、4、5、6月の次の3ヶ月間の目標を立てる感じですね。1年単位の振り返りとして、年末年始にも振り返りをしています。

時間がない、書くことがない…継続できない3つの要因

——振り返りのポイントとしては、「何ヶ月に1回振り返りする」というのを、あらかじめ決めておくことが重要なんですね。そのほかに、研修をされる中で、受講者の方からよく聞く悩みなどはありますか?

高田:そうですね、「いつも手帳を買うけど続かない」とか「忙しくて書く時間がない」といったお悩みはよく聞きます。これらは原因によって策が変わってくるんですけど、僕の経験上、(原因は)大きく3つに分かれると思っています。

まず1つが、「そもそも手帳を書く時間がない」。2つ目が、「書きにくさを感じてしまって、気づくと書くのをやめてしまう」。年初に新しい手帳を買って、1月、2月ぐらいまではちゃんと書いていくんだけど、3月ぐらいからもう書かなくなってしまうとか。

3つ目は、「そもそもそんなに書くことがない」「余白だらけで嫌になってしまう」。この3つにだいたい分かれるかなと思っています。

いつもより15分だけ早く起きる

高田:まず1点目の、手帳を書く時間がないということに関してはすごくシンプルで、「ふだん起きている時間よりも15分だけ早く起きてください」というだけです。その15分で手帳を開いて1日の計画を立てるところから始めましょう、という感じですね。なにも1時間早く起きる必要はなくて、手帳を書く行為自体は、15分あればもう十分です。

それに慣れてくると、「もっと手帳を書きたいな」となっていくと思うので、そうしたらもう少し書く時間を増やせばいいと思います。

——まずは1日15分だけ早起きするところからスタートするんですね。

手帳ではなくノートを使う

高田:はい。2つ目の、書きにくさを感じて、気づくとどんどん書かなくなっていってしまう。これはいくつか手はあるんですけれども、例えば僕みたいに手帳を自分仕様にカスタマイズしてしまう。買ってきた手帳に合わせようとしてやりにくさを感じてしまうんだったら、もう自分に合わせちゃえっていう視点ですね。

「自作で作るなんてハードルが高すぎる」という方にお勧めのもう1つの案としては、手帳ではなくノートを使うことです。今日僕が説明してきたような、「今年1年間の目標を書きましょう」とか「その達成のための行動計画をまとめましょう」とか「振り返りをしましょう」というのは、いわゆる手帳じゃなくてもできると思うんですよ。

文房具店に行くといろんな種類の手帳が売っていて、どのタイプを買えばいいのかわからないという人は、普通のノートでもいいと思います。

最後、3つ目は、「そもそもそんなに書くことがない」「余白ばかりで嫌になって書かなくなる」。これに関しては、先ほど説明したように、「自分が将来どうありたいのか」というところから洗い出して、そこに近づくために、「今年1年でどういうことを目標にしますか? それを踏まえて、直近3ヶ月でどういうことを目標にしますか? 今月は? 今週は?」という流れで目標を書き出していけば、自然と書くことは出るはずなんですよね。

手帳とデジタルツールのメリット・デメリット

——なるほど。ちなみに、ふだん手書きの手帳ではなくGoogleカレンダーのようなデジタルツールを使っている方も多いと思いますが、やはり手書きのほうが良いのでしょうか?

高田:そうですね。基本的に目標管理に関しては、手書きというかアナログ管理を推奨しています。例えばさっきお見せした1年間の計画表とか1、3、5、10年のビジョンとかはExcelで作って印刷したものなので、手書きではないんですよね。ただ紙に出力して手帳に束ねているので、手書きというよりは「アナログで管理」と言ったほうが正しいですかね。

デジタルとアナログのメリット、デメリットについてお伝えしますと、デジタルツールの強みは3つあると思っています。まず保存の制約がない。もちろん容量が上限の場合もあるかもしれませんが、ほぼ無限に保存が利くのに対して、アナログの手帳だと、紙を束ねられる限界があるので、無限とはいきません。

それからデジタルツールは持ち運びが便利。こんな大きい手帳を持ち運ぶ必要もなく、スマホ1台で済みます。

アナログの一番の強み

高田:あとは、検索性が高い。ここが一番の強みだろうなと思っていまして、例えば何かメモを残していたら、検索すれば一発で見つけられますよね。一方でアナログの強みは何かというと、折に触れて見返す機会を作れるという、この1点なんですよ。

デジタルだと、例えば「今週の目標はこれだ」「今年の目標はこれだ」というのをツールに打ち込んで管理していたとしても、見にいかなくなってしまうんですね。でも紙ベースだと、例えば先ほどお見せした僕の1週間のスケジュールを見ると、スケジュールと同時に今週の目標も目にすることになります。

ページをめくっている中で、「あれ? ちょっと待てよ」ってマンスリーのページを見て「あっ、今月の目標はこれだった」とか。見返す機会を創出できるのがアナログの一番の強みだと思っています。

仕事のメモやタスク管理はデジタルで

——デジタルとアナログの強み・弱みについてよくわかりました。ちなみに高田さんは、ふだんどう使い分けているんですか?

高田:僕の場合は、スケジュール管理も含め、完全アナログの手帳です。ただ、タスク管理だけデジタルを使っています。というのも、自ら探しにいった時に見つかればいいような情報に関してはデジタル管理のほうが、分があると思っているんですね。

例えば僕は、こうやってオンラインで打ち合わせをする機会がけっこう多いんですね。そうした時に、備忘録みたいなものはほとんど「Evernote」を使ったりして、デジタルでメモを取っています。

何日か経って、「そう言えば○○さんと話した件、何だったっけ?」と思った時に、Evernoteで検索すれば一発でそのメモにたどり着けるんですよね。紙だと、「あれ? どこにメモしたっけ?」となる可能性もあるし、何よりも手元に置いておく必要はそんなにない。必要性に迫られた時に探せればいいものに関してはデジタルで、折に触れて目にする必要があるものに関しては、アナログと使い分けています。

目標管理はアナログがお勧めな理由

高田:僕自身、目標とかスケジュールとかの管理は愛用のシステム手帳で済ませていますけれども、例えば原稿を提出しなきゃいけないとか、見積書を送らなきゃいけないという業務タスクに関しては、Evernoteで管理しています。

というのも、タスクは消えたり増えたりと流動的だからです。日々のタスクがある程度決まっているような業務の方もいるかもしれないですが、僕は仕事柄、タスクがグワッと増えたり減ったり相手ボールになったり自分ボールになったりするので。

その管理をする上で、やはり手書きだといちいち書き足したりとかが面倒くさいので、デジタルにしていますね。なのでタスクやスケジュールに関しては、僕はデジタル管理でもいいと思っています。ただ、自分の夢や目標を実現するための計画管理に関してはアナログ管理をお勧めしています。

——確かに、目標って重要だけど緊急度が高いものではなかったりするので、自分で検索しにいってまでは見ないかもしれませんね。

高田:そうですね。年初に「今年はこれを目標にしよう」と掲げても、1ヶ月、2ヶ月すると大半の人が忘れてしまう。ましてや年末近くになって「そういえば年初にこういう目標を立てていたっけ?」となりがちなんですよね。

ただ、デジタルとアナログそれぞれのメリット、デメリットをうまく使い分ければいいと思っているので、必ずしもすべてアナログにするべきとも思っていないですし、自分なりに使い分ければいいんじゃないかなと思います。

手帳は自分の人生をデザインする強力なツール

——なるほど。ふだんデジタルツールで管理している方も、目標についてはアナログ管理にしてみると、実現しやすくなるかもしれないですね。最後に、4月から手帳を使い始める方に向けてメッセージをいただけますか?

高田:一般的には、手帳というと、スケジュール管理やタスク管理をするものというイメージだと思うんですけれども、使い方によっては自分の人生全体をデザインしていく強力なツールになり得ます。

今回のお話を踏まえて、日々のスケジュールに忙殺されるような生き方をするのではなくて、自分が歩みたい人生から逆算して、日々何をやるかという視点で手帳を活用してもらえたらいいんじゃないかなと思います。

——高田さん、ありがとうございました。

関連サイト:
『決定版 手帳で夢をかなえる全技術』
『とにかく早起き 自分を変える一番大事な習慣力』

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!