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「リスクのある白タクの時代は終わったよ」都内に現れる中国系“緑ナンバーのタクシー”、国交省も知らなかったグレーな実態

完全アウトもグレーゾーンも混在する中国系ハイヤー会社の実態

 しかし、こうした行為は名義貸しとなり、れっきとした違法行為だ。個人所有の車両を会社に持ち込んで登録してもらい、緑ナンバーを取得することを業界用語では「増車」と言う。  だがこの場合、会社とドライバーの間で正規の雇用契約があったり、車両の保管場所が会社であったりするなど、さまざまな要件をクリアする必要がある。  しかし山重氏によると、そうした要件を満たさずに、名義貸しを行う中国系ハイヤー会社が少なくないと言うのだ。先ほどの陳さんのケースも、建前上はハイヤー会社所属となっているが、勤務実態はない。  取材班はSNS上で宣伝していたいくつかの業者にドライバーを装って質問してみた。ある業者は、「月8万円で緑ナンバーを貸す」と話していた。  一方で「二種免許(旅客運送に必須の免許)がなくてもOK」と答えたハイヤー会社も。明らかに違法だが、質問を続けると返信が途絶えた。  ただし、なかには「正社員になることが条件」と言う、合法らしき業者もあった。 「要件を満たした上で緑ナンバーを登録してもらう場合でも、ドライバー側が会社にお金を払うのはかなり不自然です。合法とも言えますが、グレーな状態ですね」(自動車関連に詳しい都内の行政書士)

1枚の緑ナンバーを仲間内で共有!? 国交省も未把握の事態

 現状では合法、違法、グレーが入り交じった状態だが、追跡を続けると、取材班はとんでもない投稿を「小紅書」で発見した(現在は削除)。  男がドライバーを用いて緑ナンバーを取り付ける動画で、「東京でナンバーを共有しよう」と書かれていたのだ。  一般的にナンバーの付け替えは運輸局でしか行えない。この動画は、明らかに民間の駐車場で行われていた。 「名義貸しで得た1枚の緑ナンバーを自分たちで付け替え、仲間内で使い回すケースも実際にあるようです。さらにSNSを見ると、緑ナンバーの車をレンタカーとして貸し出す業者や、緑ナンバー付きの中古車を販売する業者までいます。どういうカラクリかわかりませんが、怪しい業者でいっぱいです」(山重氏)  こうした状況を国土交通省の自動車交通局旅客課に問い合わせると、初耳だったようで「どうやって知ったのか」と逆に質問されつつ、以下のように回答した。 「(勝手な付け替えや要件を満たさないケースは)名義貸しにあたり、道路運送法で禁止され、貸した側も借りた側も3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となります。また貸した側は事業停止30日間の行政処分となります」  摘発を逃れるため、白タクはますます巧妙化している。 取材・文/週刊SPA!編集部
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