- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
「ノーステップで右中間弾とは」不作センバツでスカウトが衝撃“ドラフト候補No.1野手”横浜・阿部葉太の高い野球IQ…155キロ腕・石垣元気は?
posted2025/04/06 11:03

横浜の主将・阿部葉太は強肩強打に加えて俊足好守でプロスカウトの目に留まったようだ
text by

間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
横浜高校が19年ぶりの優勝を果たした今春のセンバツでは、最速150キロを超える剛腕や、“新基準バット2年目”ながら強いスイングと打球を見せる野手など逸材が数多かった印象だ。ただプロ野球スカウトの視点では“不作”に映っていたようだ。その中にあっても注目した選手を挙げてもらった。〈全2回/第1回からのつづき〉
石垣の150キロは「昨夏と質が違いました」
今大会のセンバツについて、あるスカウトはプロ野球での活躍を見据えた際に「スカウト泣かせの大会でした」と評していた。その理由として挙げたのは——人数が少ない上に、注目していた東洋大姫路・阪下漣投手が右ひじを痛め、わずか1イニングの登板に終わったことも影響している。
視察する選手が多くない中、スカウトが収穫に挙げたのは健大高崎・石垣元気投手だった。大会前に脇腹を痛めて登板機会は限られたが、準々決勝の花巻東戦でセンバツ最速となる155キロを記録するなど、150キロ超を連発した。
石垣は昨夏も150キロ以上の速球を投げていた。ただ、スカウトは「数字は同じ150キロでも質が違いました」と成長を感じていた。
ADVERTISEMENT
「昨夏は力でねじ伏せようと、やや力んで球速を出している場面が目立ちました。しかし、今大会は上半身の力みがなく、特にセットポジションからの投球で下半身を上手く使えていました。横浜戦では球数が80球近くになっても無理なく150キロを出せていました。力を入れるのではなく、力を抜く感覚を覚えた印象を受けました」
横浜、花巻東打線に速球を弾き返されたのが課題
今大会、石垣はリリーフで起用され、登板したイニングは短かった。それでも、4回途中からマウンドに上がった準決勝の横浜戦では8回にも150キロを超える速球を投じている。
万全とは言えないコンディションでも、石垣は進化を見せた。そして、スカウトは課題がはっきりしたところにも、さらなる成長を遂げる可能性を感じている。