
ディズニーが名作アニメーション映画を新たにミュージカル版として実写化した「白雪姫」が3月20日より劇場公開中。同作のプレミアム吹替版では、元宝塚歌劇団月組トップスターの月城かなとが初めて声優に挑戦し、白雪姫に嫉妬する“ヴィラン”の女王を、貫禄を込めて演じている。さらに、4月13日(日)から放送開始の日曜劇場「キャスター」(TBS系)で連続ドラマに初出演。宝塚での初舞台から16年となる2025年、活躍の場を広げている月城のスター性を振り返りたい。
月城“女王”の声がファンタジーの世界にいざなう
「白雪姫」はウォルト・ディズニー・スタジオの“原点”にして、真の“ディズニー・クラシック”として愛され続ける不朽の名作であり、1937年に世界初のカラー長編アニメーションとして制作。3月20日より公開されたのは、同作をディズニーが新たなミュージカル映画として実写化したものだ。
「魔法の鏡よ、この世で一番美しいのは誰?」――「白雪姫」といえばまず思い浮かぶこのせりふだが、考えてみれば主人公たる白雪姫の言葉ではない。月城が演じるクールですご味のある女王の声は、たちまち観客をファンタジーの世界に誘う。女王の美しさと冷酷さを、声だけで納得させてしまう力がある。
月城は2009年に宝塚歌劇団で初舞台を踏み、礼真琴、柚香光、愛希れいからを輩出してきた“華の95期”の1人。雪組に配属され、男役にぴったりな172cmの長身と端正な容姿で早くから注目される。
入団8年目の中堅スターだった2016年、「るろうに剣心」の雪組での初の舞台化で演じた美形キャラクター・四乃森蒼紫が、原作マンガのファンにも強烈な印象を与える。隠密御庭番衆を率いる寡黙な若き御頭のビジュアルをほぼ完璧に舞台で見せた上、小太刀を操った立ち回りでも観客を魅了。蒼紫と御庭番衆のための楽曲も制作され、2.5次元的なヒーロー像をモノにした。
雪組から月組への異動を経て、2021年に月組トップスターに就任。男役にも軍服が似合う貴公子タイプ、耽美な美少年系などいくつかのタイプがあるが、月城が得意としたのはクールで美しいのに、ちょっと拗ねたところもありそうな不器用な主人公だ。2024年7月に退団するまで、華やかなコスチュームものよりはスーツものでの紳士や青年の役を得意とした。

見る人の想像力を刺激するスター性と芝居心
トップ就任時のお披露目公演は「今夜、ロマンス劇場で」。綾瀬はるかと坂口健太郎のコンビによる映画を舞台化したもので、劇中の映画から飛び出てきたヒロイン・美雪に振り回される助監督の青年・牧野健司を純朴に好演した。
代表作の一つである「グレート・ギャツビー」(2022年)は、米国の文豪F・スコット・フィッツジェラルドの小説をミュージカル化したもので、“狂乱の1920年代”を象徴する物語だ。
「グレート・ギャツビー」といえばレオナルド・ディカプリオ主演の映画版も記憶に新しいが、月城による主人公ジェイ・ギャツビーはやはりその二枚目フェイスに、深い情念を抱えている役作り。過去の思い人・デイジーのため、裏社会のおきてを破って破滅するまでを丁寧な芝居と歌で演じた。
まず何より、立ち姿も含めて舞台映えする美しさがこの人の演技に説得力をもたらす。これほど美しいのだからどんな時代の、どんな振る舞いや衣装姿も画になるし、ゆえにその役の本音を観客は知りたくなってくる。「グレート・ギャツビー」なら、ニューヨークでデイジーと再会したときに何を思ったか、なぜ最後まで彼女をかばい続けるのか…など見る人の想像力を刺激するスター性と芝居心を培ってきた。
2023年上演のミュージカル「DEATH TAKES A HOLIDAY」では、ロシアの王子ニコライ・サーキの姿を借りて人間界にやってくる死神を演じた。初めて経験する人間の生活に目を輝かせ、初めて卵焼きを目にして無邪気な表情ではしゃぐなど、コメディータッチなシーンでも絵になるスター性を持っている。
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