毎日16時になると、オフィスに人がいなくなる――。デンマークではこれが当たり前だと話すのは、デンマーク文化研究家の針貝有佳さん。そうでありながら、2022~23年にかけて世界競争力ランキング(※)で1位を獲得。なぜ、勤務時間は短いのに成果を上げられるのでしょうか。2025年2月に開催した日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアムの勉強会に針貝さんを招き、デンマークの働き方について詳しく聞きました。
※スイスの有力ビジネススクールIMDが毎年発表する世界競争力ランキング。「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4部門(合計20項目)でスコア付けされる。
「石橋を造りながら渡る」のがデンマーク流
デンマークは人口約600万人、面積は九州程度と小規模ながらも、世界競争力ランキングでは22年、23年に1位、24年は3位にランクイン。カテゴリー別で見ると、「ビジネス効率性」で20年から5年連続で1位を獲得している。
ちなみに、日本は24年に38位と3年連続で順位を落とし、「ビジネス効率性」は51位に沈んだ。
2009年にデンマークに移住し、デンマーク文化について研究する針貝有佳さんはこう話す。「世界競争力が高い一方で、デンマーク人は16時までに会社を出て家族と一緒に夕食を食べたり、友人とカフェで話したり、思い思いの時間を過ごす。ワークライフバランスに優れています」
なぜ、デンマーク人はライフとワークを両立させながら、短時間で結果を出せるのか。針貝さんは、デンマーク人の働き方、考え方に理由があるとし、4つを挙げた。
「1つ目は、デンマーク人は業務を進める上で綿密な行動計画を立てず、失敗前提でとりあえず行動し、試行錯誤を重ねながら改良していくという特徴があります。『石橋をたたいて渡る』の反対で『石橋を造りながら渡る』といったイメージです」