【4月10日 AFP】世界貿易機関(WTO)のヌゴジ・オコンジョイウェアラ事務局長は9日、米中間の関税戦争により、両国間の物品貿易は80%減少する恐れがあるとの見方を示した。また、ブロック経済につながれば、世界の国内総生産(GDP)は長期的には実質ベースで7%近く押し下げられる可能性があると警告した。

事務局長は声明で、「米中間で激化する貿易摩擦により、二国間貿易の急激な縮小という重大なリスクがもたらされる。われわれの暫定予想では、両国間の物品貿易は最大80%減少する可能性がある」と指摘。米中間貿易は世界全体の貿易の3%を占めており、摩擦の激化は「世界の経済見通しに深刻な打撃」をもたらす恐れがあると述べた。

世界経済が米中それぞれを中心とする二つのブロックに分裂する恐れがあるとも警告。「特に懸念されるのは、地政学的な境界線に沿った世界貿易の分断の可能性だ。世界経済が二つのブロックに分かれれば、世界全体のGDPは長期的に実質で約7%減少する可能性がある」とした。

その上で、すべてのWTO加盟国に対し、「協力と対話を通じてこの課題に対処する」よう呼びかけた。(c)AFP