やぎゃあ さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
いろいろ考えたけど、よくわからなかった・・・
※レビュー前半はネタバレなし。後半からネタバレ注意。本編の内容に触れます。
ーーー<キャラの評価>ーーーーーー
男性側主人公の駆(カケル)は終始 無機質・無感情なキャラのように描かれているのに、女性側主人公の透子に対してだけはガッついてる思春期男子みたいなムーブで、キャラクター像が最後までつかめませんでした。
駆はデリカシーのない行動が多く、それに対する「透子の心情」と「他キャラたちの心情」とでかなりのギャップがあり、透子は何でそう感じるの?という心理描写が多かった印象。(やはりイケメンは正義ということか・・・w)
ーーー<作画の評価>ーーーーーー
綺麗は綺麗なんですが、P.A.worksにしては煌びやかさが足りてなかったような印象を受けました。特にglass(グラス・ガラス)を主題や情景描写に取り入れている作品なので、私の中で期待値を上げ過ぎたかもしれません。
ーーー<物語の評価>ーーーーーー
◆まずネタバレにならない範囲から。
全体的に説明が足りないというか、説明が遅い印象を受けました。作品によっては、情報の点と点が次第に繋がっていく気持ちよさというのもありますが、本作は情報出しがやや遅すぎな印象を受けました。中盤以降まで人物相関すらよくわかりませんでした(この子達はどういう繋がりでつるんでるの?とか、この子とあの子は何で同じ家に住んでるの?とか)。
◆以下、本題。ネタバレ含む感想や考察。
{netabare}
「透子に時折見える景色は何なのか」というテーマで物語が進んでいくのですが、いろいろ考えては見ましたが、結局 私にはよくわかりませんでした・・・。
ーーー<まず要素抽出>ーーーーーー
冒頭、花火大会で透子が正体不明の景色を見、後日「君と同じものを見た」と言って近づいてくる駆・・・ここから始まる物語。
物語序盤は、駆いわく「未来の欠片(かけら)」とのことらしく、確かにこれから起こること(やなぎがフラれて泣いている・幸の検査入院など)の景色を見ていました。
ところが途中から「駆が高所(高台?)から落下していく光景」や「やなぎから黒いカラスの群れが飛び出る光景」を見ました。
そして終盤、駆には謎の光景が見えなくなり、透子だけが「雪景色」を見るようになりました。それどころか、透子は謎の光景を「見る」というより「入り込む(体験する)」というように能力?が発展しました。
ーーー<こっから考察>ーーーーーー
① 終盤の展開から、謎の光景の正体は「こうなったら良いなという願望」が見えているのかと考えました。花火大会での「同じものを見た」とは、すなわち「心の許せる相手・パートナー」を期待した結果なのかな?と。
で 駆にそれが見えなくなった理由は、「透子」と出会い 恋心を抱いたから、とか。つまり、心を許せる相手と出会えた(叶った)ということ。
で 透子があの雪景色や ひとりぼっちの花火大会を体験したのは、駆のことをもっと知りたいと願ったから、とか。具体的には、引越し三昧の人生を送ってきた駆の「唐突な当たり前の孤独」というものが何なのかを、本当の意味で感じ取りたかったから、とか。
しかし、それだと『幸が検査入院後 何事もなく過ごす』という光景はポジティブですが、『やなぎがフラれて泣いている光景』はネガティブなので、おかしいんですよね。透子は雪哉に恋心を抱いていないですし、雪哉の恋心すら察していません。ゆえに、やなぎの不幸を望む理由がないですし、嫉妬心も無いはず。
ましてや「駆が高所から落下していく光景」に至っては、説明不能になります。
② ならば、「人の感情が見えているのか」とも考えました。
「やなぎから黒いカラスの群れが飛び出した光景」は、やなぎから怒りや憤りのようなドス黒い感情が発露しているという描写ではないか、と。あの時、やなぎは『ユキが格好悪くなったのはあんた(駆)のせいだから!』的な怒りをぶつけていたので。
で 駆が謎光景を見なくなった理由は、透子と出会い 孤独ではなくなったから・・・孤独から解放され、「寂しさ」という感情が発露しなくなった、とか。
で 透子に謎光景が見えたのは、駆がそれまで抱えていた「孤独」の感情が移ってしまった(伝播した)、とか。
でも、それだと序盤の「未来予知」の展開には何も説明がつかないんですよねぇ・・・。
③ならば、「並行世界が見えているのではないか」とも考えました。
が・・・、そもそも並行世界がどうのこうのなんて、物語全体を通して一度も触れていないので、それを主軸に考えるのは唐突にも程がありますよね・・・脈絡が無さすぎ。「並行世界だったら何なの?」となるだけですよね。
ちなみに・・・
一つ超重要だと思ったのに、結局なんだったのか わからなかったのは、中盤〜終盤あたりに出てきた『つばめの巣』の話。
ある日中の展望台にて、駆が透子につばめの巣を見せた際「私 この街に長くいるのにこの街のこと何も知らないなぁ」的な会話はしたはず。
で、その後 幸と祐と透子で夜の展望台に忍び潜んだ際、再び つばめの巣の話になるも、透子は初耳のような素振りで、同じことを言いましたよね。あの描写が不可解すぎて引っかかったんですが・・・。
だから叙述トリック的な何かか?視聴者が見ている透子や駆ではない、別の透子や駆が見聞きしたものが混ざっているのか?・・・という流れで、並行世界が関係している?とか考えたんですけどね・・・。
結論:私には2人が見ている謎の光景が何なのか わかりませんでした。すべてに説明がつく「一本の筋」が見つけられませんでした。
感想:
この物語は「この学生らの恋物語」を主軸にしているのか、「未来の欠片とは何なのか」という探究を主軸にしているのか、何を考えながら見れば良いのかが ふわっとしている印象を受けました。
恋物語的には、
やなぎや 幸の「好きな人の 好きな人は、私の友人(知人)」みたいな皮肉な構図や、
フラれてもネチネチしない竹を割ったような性格とか、
あるいは透子に恋心を抱いている幸が、透子-駆の海デートに予定をバッティングさせようとした嫉妬心による行動とか、
良い感じに『人間らしさ』が表現されてて良かったなと思いました。人生って思った通りにはいかないですからね・・・。結構 現実味のある「青春の苦悩」が描かれてて、その点は好印象でした。
{/netabare}