金メダルを獲得し、歓喜する(左から)永野雄大、敷根崇裕、松山恭助、飯村一輝 パリ五輪フェンシングで日本は個人と団体で金2、銀1、銅2のメダルを獲得し強化の成果を示した。五輪銀メダリストの太田雄貴さんに憧れ、背中を追ってきた4人が男子フルーレ団体で初の頂点に立った。
東京五輪は自力で出場権を得られず開催国枠で参加し、3位決定戦で敗れた。東京五輪後にフランス人のルペシュー氏がコーチに就任し、本場の技術と理論に接したことが転機となった。2022年には父・栄彦さんが太田さんのコーチだった飯村一輝が代表入り。チームを活性化させた。
レジェンドの思いをつないだ後輩が夢をかなえた。過去7度の優勝を誇る強豪イタリアとの決勝で日本のアンカーを担ったのが飯村だった。初出場ながら大役にも動じずに躍動。日本の未来を担う20歳は、「一丸となって強さを発揮できた」と4人が結束して勝ち取った金メダルを、誇らしげに見つめた。
身長169センチと小柄で一瞬のスピードで相手の懐に入り込むスタイルは太田さんを手本に磨いてきたものだった。父が太田さんのコーチを務めていた縁で、幼少期から兄のように慕ってきた。今年5月には食事会の席で「太田さんを超えます」と本人を前で宣言した。自身に重圧をかけることで有言実行。表彰式後には、会場で観戦した太田さんと抱擁を交わした。