高円寺酔いどれツアーの1軒目に訪れた「アンドビール」の8種ビアフライト。3セットあると壮観だ(撮影・Mさん) 相棒たち(飲み仲間のこと)とランチから夜にかけて半日クラフトビールツアーをすることになった。平日の昼から飲める休みが3人とも重なったからだった。
この連載を執筆している僕がプランを立てることになった。最初に思ったのは「できることならブルーパブやブルーバー(醸造所併設のパブやバー)で飲みたい」。都内でそうしたツアーが組める所として真っ先に思いついたのが東京・高円寺だった。徒歩で行ける場所に2つのブルーパブがあるからだ。クラフトビールをたくさん置いてある店もいくつか知っているので「昼から高円寺酔いどれツアー」を企画した。
3月某日午前11時15分、JR高円寺駅改札口前に集合し、まずは「アンドビール」に向かった。線路の下を阿佐ケ谷駅に向かって歩き、リノベーションされた団地の1階に店がある。そのすぐ近くの線路下で醸造しているんですよ、と2人に話しながら店内へ。平日の正午少し前だというのに既にカウンターにもテーブル席にも客がいてにぎわっていた。僕らは窓際の4人席に案内された。
アンドビールには何度か来ている。最初にここで醸造されたビールを飲んだのはC中野店だったと記憶している。「高円寺にブルーパブがあるのか」と印象に残っていたので、それからすぐに高円寺に行った。その後も2、3度通って以下のビールを飲んだ。カッコ内は僕のビールメモ。
「みんなのIPA」(少しヘイジー。爽やかなホッピーで飲みやすい)
「インペリアルインディアンペールアンガー」(WIPA 色はブラウン。ホッピーかつモルティーで苦味しっかり。口に含んだときに甘みも感じる)
「ウインターIPA」(爽やかな香りのホッピー系セッションIPA)
「ハローアンドグッバイ」(アルコール度数9・5%のWIPA。薄めのブラウン。苦みしっかり。モルト感もあり。ハイアルコール感も強い)
「トロピカルナイトIPA」(クリアな黄色。シムコー、シトラ、モザイク、カスケードを使っている。いかにもシトラス感強し。まさにホッピーなビール。アルコール度数6%)
「ナマケモノになれない私たち」(フルーツサワーIPA。黄色いヘイジー。柑橘(けんきつ)系果汁を使っているだけにジュース感たっぷり)
「チオールバースト」(ほんのり濁ったIPA。ウエストコーストながら苦み少なめのフルーティー。チオールはホップの成分。アルコール度数5・3%)
「シトラスサワー」(クリアなIPA。名前の通り酸味あり)
メモに書き忘れたビールもあるかもしれないが、これだけ飲んでいればまずまずだろう。山梨・勝沼に新たな醸造所を新設したと聞いていたので、今回はどんなビールが飲めるか楽しみだ。と思ったら、すぐ近くの醸造所は閉鎖しているというではないか(後日、アンドビールのサイトを見たら2024年末に閉鎖して醸造所を、21年にできた勝沼に統合したとあった)。つまり高円寺店はブルーパブではなく、クラフトビール醸造所直営タップルームに様変わりしたわけだ。したり顔で「すぐ近くで造ったビールが飲める」と話した僕は赤面だが、初めて来店したIさんとMさんはここのクラフトビールを初めて飲めるのでうれしそう。それがなによりだ。