『大公の聖母』(伊: Madonna del Granduca)は、イタリア、盛期ルネサンスの巨匠ラファエロ・サンツィオが1505年から1506年に制作した絵画である。油彩。本作品の名は所有者であるトスカーナ大公フェルディナンド3世が特に愛した絵画であったことに由来し、ラファエロの描いた聖母像の中でも特に有名な作品の1つである。一見すると、暗闇の中に浮かび上がるかのように描かれた聖母マリアと幼いイエス・キリストが印象的な作品だが、黒い背景は後世の加筆によるものであることが判明している。加筆は2層にわたっており、これを除去してかつての姿を修復することは不可能とされている。現在はフィレンツェ、ピッティ宮殿のパラティーナ美術館に所蔵されている。またウフィツィ美術館には本作品の習作素描が所蔵されている。