甕棺墓(かめかんぼ)とは、甕(かめ)や壺(つぼ)を棺(ひつぎ)として埋葬する墓をいう。歴史的墓制として世界各地に見られるが、乳幼児の墓として用いられる例が多い。1個の甕に土器などの蓋をするもの(単棺)、2個の甕を開口部で合わせたもの(合口棺)などがある。気密性を確保するため、蓋や合口部を粘土などで固定することも多い。甕棺内部では、遺体を屈める屈葬(くっそう)の形態がとられる。屈葬及び甕棺の採用には、死者の魂を遺体にとどめておこうとする思想背景があった、と考える研究者もいる。考古学者である小林謙一によると甕棺墓は他の墓制より非常に作りやすいため、アジア各地に現れた甕棺墓は互いに密接な関連はなく偶然に各地で自然発生した可能性が高いと言う。