【異色対談】裁判所に楯突くことができないマスメディアのタブーとは何か…あの岡口基一元裁判官に田原総一朗が問う

後篇

現役の裁判官でありながら、SNSで情報発信を続けてきた男がいる。ある投稿をきっかけに野党議員が騒ぎ出し、国会議員によって構成される裁判官弾劾裁判所でクビ&弁護士資格剥奪が宣告されてしまった。裁判官に言論・表現の自由はないのか!? なぜマスメディアはこの問題に沈黙するのか!? 田原総一朗がとことん迫る。

《対談前篇》なぜ私は弾劾裁判で裁判官をクビになったのか…日本の司法の闇を問う とあわせてお読みください。

裁判官を職業に選んだ理由

田原 岡口さんはいつごろから裁判官になろうと思っていたんですか。高校時代ですか。大学生時代ですか。

岡口 司法試験に受かったあとです。我が家はお金がなくて貧乏だったので、東京に出てきてから自分でお金を稼がなければ暮らしていけませんでした。そこで大学生時代に東池袋駅のあたりで子どもたちを集め、小さな塾を開いていたんです。

塾の仕事にのめりこみすぎてしまい、大学の授業はサボってばかりでした。だから成績はすごく悪く、「優」なんて2個しかなかったくらいです。クラスメイトは銀行員になったり手堅く就職していきましたが、私は留年しながら大学に6年在籍しました。

「公務員であれば、親に仕送りができるかな」「司法試験を受けて裁判官か検察官になろうかな」。それくらいの軽い気持ちで司法試験に挑戦しました。お恥ずかしいことに、当時の私は何も考えてなかったんです。

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田原 司法試験に受かったあと、弁護士になろうとは思いませんでしたか。

岡口 弁護士になったとしても、安定的に収入が得られるとは限りませんからね。弁護士を選んだ結果、人生を失敗するのはあまりにもリスキーに思えました。

田原 司法試験をパスした人は司法修習生として2年間過ごしながら、裁判官か検察官になるか、弁護士になるか3択で選択します。

岡口 「検察修習」と言いまして、司法修習生として検察庁での仕事を4カ月間体験しました。そのときに「検察は違うな」と思ったのです。

田原 何が違うと思ったんですか。

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