リーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」ビジュアル

テンミニ!10分でハマる舞台

白石加代子・大原櫻子がエネルギッシュにお届け!リーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」

まさかこうなるとは…ステージは驚きの様相に

PRリーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」

リーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」が、4月19・20日の神奈川・神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール公演を皮切りに、全国で上演される。2013年に刊行された廣嶋玲子の「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(偕成社)は、これまでアニメ映画やテレビアニメ、遊園地のアトラクションなど、さまざまメディアで展開されてきた。同作がこのたび、笹部博司による台本・演出のもと、初顔合わせとなる白石加代子大原櫻子の出演でリーディングドラマとして立ち上げられる。初日に向けて稽古に励む白石と大原に、本作の見どころを聞いた。

取材・/ 大滝知里

紅子の母性が要、おばさんは世界を救う!

白石加代子扮する紅子。

白石加代子扮する紅子。

リーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」は、去る3月31日に休館した神奈川・神奈川県民ホールが、神奈川県内および県外に向けて製作する舞台作品の第1弾。今回は原作シリーズから「型ぬき人魚グミ」「猛獣ビスケット」「おもてなしティー」を中心とするストーリーが展開する。

駄菓子屋を営む紅子(白石)のもとに、さまざまな悩みを持つ客たち(大原)が訪れる。紅子は彼らにぴったりなお菓子を選ぶのだが、食べ方や使用方法を間違えると不幸が訪れて……。原作となる児童小説は小学校や図書館にも置かれているような人気のシリーズで、老若男女に広く親しまれている。大原は「駄菓子屋は、大人にとってどこか懐かしい、ワクワクするような場所。でも、たとえば、食べたら泳げるようになる『型抜き人魚グミ』といった夢のようなお菓子が、きちんと説明書を読まなければ、本物の人魚に変えてしまう力を持つように、単なる夢物語ではない生々しさが子供にとっては怖く、大人にとっては面白く映るんじゃないかなと思います」と原作の魅力を分析する。一方の白石は「どんなに逃げたくなるような話でも、中心にいる紅子さんの母性や優しさ、大きさが、最終的には登場人物たちを助けてくれる。“おばさん”っていうのがいいのよね。おばさんは世界を救うわ(笑)」と独自の解釈で原作に歩み寄った。

充実した稽古に役がストンと落ちてくる予感

大原櫻子扮するよどみ。

大原櫻子扮するよどみ。

本作の見どころの1つとなるのが、大原が銭天堂を訪れる複数の客を演じ分けること。「型ぬき人魚グミ」では泳げない11歳の真由美を、「猛獣ビスケット」では銭天堂でお菓子を盗んでしまう9歳の信也を、「おもてなしティー」では43歳独身のみどりに扮し、さらには紅子のライバルであるたたりめ堂のよどみ役も務める。舞台「ミネオラ・ツインズ」で正反対な双子の姉妹を演じ分けた大原は、海外戯曲故に真意や背景をくみ取る難しさを感じたという当時の体験を引き合いに、「今はとっても楽しい。自分が人生で体験した少女の頃や、見てきたような男の子の役は演じやすいですね。ただ、43歳の人生は未経験ですし、よどみは妖怪的な雰囲気が難しい(笑)! でも、充実した稽古の中で役がストンと落ちてくるような予感がしています」と瞳を輝かせる。そんな大原の稽古場での姿に、白石は「すごく楽しそうにやるから、こちらも楽しませてもらっています。お稽古場に入ってきたときに、『何かの音源かな?』と思うくらい、すごくいい歌声が聴こえたんですよ。彼女が歌っていたんだけども、のどの特殊な部分が震える声質っていうのかしら。声が特別だね」と太鼓判を押した。大原は、小さい頃から劇場で観てきた“雲の上の存在”の白石に褒められて恐縮しつつ、「加代子さんならではの世界観やセリフのリズム感に、自分のエネルギーを引き出していただいている感覚があります」と刺激を受けている様子を見せた。

地の文に宿る“神の力”、観客の想像を超える作品に

左から白石加代子扮する紅子、大原櫻子扮するよどみ。

左から白石加代子扮する紅子、大原櫻子扮するよどみ。

白石は、1992年にスタートし、昨年10・11月にはアンコール公演第5弾が行われた自身のライフワーク「百物語」で、“語り”の表現に長く向き合ってきた。白石は、「『百物語』では1人でいろいろな役を演じてきましたが、地の文には作者の“神の力”が宿っていて、かなりのことを教えてくれるんです。女優だから複数の役を演じ分けるのは楽でしょうということにはならず、地の文が一番大事で、そこにいつも苦心しました」と明かす。「百物語」同様、小説を原作とする本作で、白石は紅子のほかにも複数役、そして語りを務め、腕を見せる。さらにはダンサー2名が出演し、白石と大原のパフォーマンスをアシスト。演技だけでなく、歌唱やパフォーマンスを交えた、カラフルな演出で「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」の作品世界がお目見えする。大原は「まさかこうなるとは思いませんでした(笑)。私だけでなく加代子さんも動くし、ダンサーの方は身体を使って電柱やプールなどを表現してくれるんです。思ったよりも“芝居”なリーディングドラマで、お客様の想像を超えてくる作品に仕上がると思います」と出来上がりつつある作品の“意外性”を推した。

本作は盛りだくさんな内容ながら、コンパクトな座組で全国6都市12会場を巡る。全国で待つ観客に向けて大原は、「私は衣裳やカツラをガラリと変えて4役を演じ分けますが、加代子さんは少しの外見の変化で瞬時に7つの役に入れ替わるんです。ぜひ、それぞれの演じ分けの違いも楽しみにしていただければ」とメッセージを送る。また白石は、「こんなにとっかえひっかえやると、普通は舞台のレベルが落ちるんです。でも今回はそこがうまくいっている。ダンサーの方が入ってくださるから、役者はその間に息継ぎができるでしょう(笑)? エネルギッシュにやらせていただきます」と期待感を抱かせた。

リーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」公式サイト

リーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」

2025年4月19日(土)・20日(日)
神奈川県 神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール

2025年4月26日(土)
大阪府 茨木市文化・子育て複合施設おにクル ゴウダホール

2025年4月27日(日)
大阪府 南海浪切ホール 大ホール

2025年4月29日(火・祝)
神奈川県 相模女子大学グリーンホール 大ホール

2025年5月2日(金)
北海道 音更町文化センター ふれあいホール

2025年5月4日(日・祝)
北海道 名寄市民文化センター EN-RAYホール

2025年5月6日(火・振休)
北海道 共済ホール

2025年5月10日(土)・11日(日)
愛知県 愛知県産業労働センター(ウインクあいち) 大ホール

2025年5月17日(土)・18日(日)
福岡県 福岡市民ホール 中ホール

2025年5月24日(土)
神奈川県 ひらしん平塚文化芸術ホール 大ホール

2025年5月25日(日)
神奈川県 横浜市鶴見区民文化センター サルビアホール

2025年5月31日(土)・6月1日(日)
東京都 シアター1010

スタッフ

原作:廣嶋玲子「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(偕成社)
台本・演出:笹部博司

出演

白石加代子 / 大原櫻子
ダンサー:蛸島由芽 / 村上生馬

※子供料金あり。

※北海道・音更町文化センター ふれあいホール公演は完売。

公演・舞台情報

白石加代子(シライシカヨコ)

白石加代子

1941年、東京都生まれ。早稲田小劇場(現・SCOT)を経て、蜷川幸雄演出作品、映画、テレビドラマなどで幅広く活躍。1992年より「百物語」をライフワークに“語り”を習熟。近年はNODA・MAP公演「フェイクスピア」などに出演する。6月にShake&Speare!!Stage 宮川彬良×木村龍之介「ナツユメ」にAIアバター出演。

大原櫻子(オオハラサクラコ)

大原櫻子

1996年、東京都生まれ。2013年、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」のヒロイン役をオーディションで射止め、スクリーン&CDデビュー。歌手活動と並行し、テレビドラマや舞台に出演。近年の出演舞台に「ミネオラ・ツインズ」「ザ・ウェルキン」、ミュージカル「この世界の片隅に」、KERA meets CHEKHOV「桜の園」など。6月11日にアルバムを発表予定。

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