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内定辞退に退職代行を使う若者も…「モームリ」代表に聞いた実情「入社前逃亡はさらに増えていく」

新年度を迎える直前、人事担当者を悩ませる入社前逃亡。少子高齢化の進行により、売り手市場と化した就職戦線において、各企業は初任給の大幅アップを図るなど、新卒人材の確保に必死だが、そんな企業の苦労を知ってか知らずか、今年も4月に入社予定だった学生たちが内定辞退するといったケースが続出している。

内定辞退に退職代行!? ミスマッチが生んだ悲劇

[入社前逃亡する若者]が急増中!

谷本氏は「入社式後はより退職代行の需要が増加する」と予想。例年、4月から5月にピークを迎えるという

業界最大手の退職代行サービス「モームリ」では、入社直前の退職代行の依頼は9件(3月上旬まで)。 その実情を代表の谷本慎二氏に語ってもらった。 「内定辞退の利用者は、『職場の違和感』や『イメージと異なる業務内容』など軽めの理由が多い。すんなり退職の手続きに入る企業は多いですが、『今までの研修費用を出せ』『新たな人材を募集する採用費を負担しろ』などと脅してくる企業も一部ある。ただ、仮にそういうものを請求されても支払い義務は発生しないですけどね」

ミスマッチが問題なのが6割も…内定以前に大切なこと

 近年の退職代行サービスの利用者を分析すると、「2:6:2」の法則があるという。 「会社が明らかに悪いのが2割、6割が会社と労働者のミスマッチ。残りの2割は本人に問題がある。例えば、内定者アルバイトを実施している企業は、新人育成に取り組んでいるともいえるのでホワイト寄りです。そのなかで内定辞退が起こるのは、会社と労働者のミスマッチが大きな要因だと思いますね」  こうしたミスマッチは、就活システムにも問題があるとか。 「今の就活では、いかに内定を取るかが目的となっていて、会社の仕組みなどの基礎知識を教えてくれる存在が抜け落ちている。以前、ある大学で講演をしたときに『みなし残業』や『有期雇用と無期雇用の違い』などの用語を知らなかった学生がほとんどでした。これらはネットの口コミや退職代行のようなサービスが出てくるまで、ブラックボックス化していた部分だと思いますよ」  谷本氏は、「入社前逃亡はさらに増えていく」と予想する。 「退職代行の利用者のほぼ全員が、1か月以内に次の就職先が決まります。だから入社直前でも辞めて、就活し直したほうがタイパ的にもいいんでしょう」 取材・文/週刊SPA!編集部
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