まもなく「新星」が夜空に見えるようになる…観測するために知っておくべきこと

Marianne Guenot原文翻訳:Ito Yasuko、編集:井上俊彦

Mar 24, 2024, 3:00 PM

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新星
爆発する、新星のイメージ画。
NASA's Goddard Space Flight Center
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  • 地球から3000光年のところにある「新星」が、地球から見えるようになる。
  • かんむり座T星が今後数カ月以内に、最大1週間にわたって北極星よりも強く光るはずだ。
  • 多くの人にとって一生に一度となるであろうこの事象を見るには、いくつかの準備が必要だ。

まもなくある星が爆発し、北極星よりも明るく光って豪華なショーを見せてくれそうだ。

この星は、地球から3000光年のところにあり、数カ月のうちに大爆発して「新星」になると予想されている。

NASAのコメントによると、一生に一度のこの天体ショーで見られる星は肉眼で見ることができるほど大きくなる可能性があるという。最大で1週間、見ることができる。

新しいタイプの新星爆発「マイクロノバ」を観測

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「今回の天体イベントは楽しくわくわくするものになるだろう」とルイジアナ州立大学の天体物理学者、ブラッドリー・シャーファー(Bradley Schaefer)は、ニューヨーク・タイムズに語った

天体観測が好きな人にとっては、すでに盛りだくさんな2024年の予定が、もう1つ増えることになる。

アメリカとカナダでは4月に、皆既日食、さらには珍しい、緑色の巨大彗星が見られる。彗星の方はすでに見え始めている。

数光年離れているから安全に見ることができる「水素爆弾」

光り輝くのは「かんむり座T星(T Coronae Borealis)」という星だ。この宇宙における大爆発は、小さな白色矮星(死んでしまった星の核)が、赤色巨星の軌道に閉じ込められた時に起こる。

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赤色巨星付近で爆発する、白色矮星のイメージ映像。
NASA's Goddard Space Flight Center

赤色巨星が近くの星を引き裂くと、高密度の白色矮星はその破片(水素を多く含む物質の混合物)を吸収する。死んでしまった小さな星はその後、徐々に高温になり、限界点に達するとすべてのエネルギーが巨大な宇宙爆発として放出される。これが「新星」だ。

「こうした新星は基本的に、水素爆弾だ」とシャーファーはニューヨーク・タイムズに語った。

だが、心配する必要はない。かんむり座T星は遠くにあるため、そのエネルギーは地球に届かず、我々に害が及ぶことはない。

人類はこれまでに何度も新星を目撃している。天文学者によって最初に確認されたのが1800年代の終わりで、約80年ごとに爆発している。

今近付いて来ている爆発も、実際には数千年前に起こったものだが、その光が我々のもとへ届くには、それほど時間がかかるのだ。

それでも、見てみる価値はある。かんむり座T星が前回輝いたのは1946年で、次に見えるのは2100年代初めなので、ほとんどの人には今回がラストチャンスだろう。

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どうすれば見ることができるのか

この新星を見逃すことがないように、NASAからの最新情報には目を光らせておくこと。確実なのは、Xで@NASAUniverseをフォローすることだ。

その一方で、この天体イベントが起こる「前」の状態を見ておく必要がある。

まずは、明るく光るベガ(Vega)とアルクトゥルス(Arcturus)を探して、ヘルクレス座(Hercules)の位置を確認しよう。近くにある、弧を描く4つの星、それが北のかんむり座(Corona Borealis)だ。ここで爆発した新星が見える。

ヘルクレス座
ヘルクレス座と北のかんむり座の位置関係。まもなく新星が見えるはずだ。
NASA

NASAから通知が来たら、天気と月の予報を確認しよう。雲と月のない夜がベストだ。

星を見るならいつもそうだが、街の明かりを避け、田舎の静かな場所を探そう。寝転んで、真下から空を見上げよう。

日の出前の時間帯が、新星が最も良く見えるはずだ。

スマホの星図を使って、星座を探しても良い。だが注意すべきは、スマホを見てしまうと、目が暗闇に完全に慣れ星が輝いて見えるようになるまで、30分ほどかかるということだ。

運が良ければこの天体観測には、他のものが見えるチャンスも付いてくるかもしれない。

カナダとアメリカでは4月8日(現地時間)に、皆既日食が起こるとNASAは予測している。

同時に、緑色のポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)も、地球から見えるようになってきている。4月頃には、肉眼で確認することができるくらいの明るさになるはずだ。

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