広島県が広島市内4区で計画している無料、任意の大規模PCR検査の概要が26日、分かった。住民と働く人のうち約28万人が受けると想定。1日当たり約8千件を検査し、1カ月程度で終えるのが柱となる。県は必要な費用を約10億円と見込んでおり、2月3日に開会予定の県議会臨時会に諮る2020年度補正予算案に計上する方向で最終調整に入った。
県は大規模PCR検査について、感染者の多い広島市中、東、南、西区で実施し、住民は約60万人、働く人は約10万~20万人いると説明してきた。複数の関係者によると、検査は無症状の人を対象とする上、任意で受けてもらうと位置付けているため、実際の人数を約28万人と見込んだ。
検査件数は1日当たり約8千件とし、終了までに1カ月程度かかる見通し。4区の住民向けには、唾液の検体を採取する場所を複数設ける。4区外から働きに来ている人には、職場を通じて検査を受けてもらう手法を探る。複数の検体を同時に検査する「プール方式」も採るという。
県は大規模PCR検査を、新型コロナの感染拡大を抑えるための集中対策の再延長(18日~2月7日)と合わせて打ち出した。補正予算案には必要な事業費として約10億円を盛り込むほか、集中対策に伴う外出自粛などの影響で売り上げが落ち込んでいる飲食店の支援を位置付ける構えだ。
具体的には、営業時間の短縮を要請していない県内の飲食店に支援金を出す方針を固めた。売り上げが前年比で3割以上減った店を対象に、一律で30万円を支給する案が有力だ。飲食店向けの支援金は、財源の一部について市町に負担を求める可能性があるという。
さらに、2月7日までの集中対策を再々延長した場合に備えて、営業時間の短縮要請に応じた店舗へ払う協力金の財源もあらかじめ確保するとみられる。
ただ、補正予算案を審議する県議会側には、大規模PCR検査の効果に対する疑問や支援金の市町負担に関する異論がある。このため県は、詰めの編成作業を続けている。
26日に記者会見した湯崎英彦知事は、大規模PCR検査について「無症状や、鼻、喉が痛いという軽症の人からの感染については対策が困難。大規模なPCR検査は残された数少ない選択肢だ」とあらためて意義を説いた。集中対策の再々延長については、現時点で是非を判断できないとしつつ、感染状況が一定に下がった時点で段階的に対策を緩和する可能性を示した。(宮野史康、樋口浩二)