松江市黒田町一帯で江戸時代から栽培されている伝統野菜「黒田せり」が、特定外来生物ヌートリアによる食害でピンチに陥っている。セリ田の四方と天井をネットで囲っても隙間(すきま)から入り込んで葉を食べるため、今季だけで50万円以上の損害を受けた農家もいる。大型ネズミの仲間であるヌートリアは捕獲が難しく、イタチごっこが続いている。 農林水産省によると、かつて黒田町一帯は沼地で、春の七草の一つの野生のセリが自生していた。松江藩の五代藩主・松平宣維(のぶすみ)(1698~1731年)がセリの改良を推奨し、本格的な栽培が始まったとされる。 あくが少なく、シャキシャキとした食感で香りが良いのが特徴で、美食家として知られる北大路魯山人から1930年代に「日本一」の折り紙を付けられたという。
