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 日本のGDP(国内総生産)の実に22%を占める、建設・不動産・住宅の3業界。日本経済を支えるこれら巨大産業が、今「変革のタイミング」を迎えている。本連載では『「建設業界」×「不動産業界」×「住宅業界」Innovate for Redesign』(篠原健太著/プレジデント社)から、内容の一部を抜粋・再編集。異業種に比べてDXやGXの面で後れを取る3つの業界に求められている、産業構造の「リデザイン」について考える。

 今回は、住宅市場の先細りにより厳しい環境が続くハウスメーカーが進める「多角化経営」に注目。工務店の経営にも求められる変革について考える。

多角化のその先にある、地域に根付く「1000年経営」の構想を立案

 厳しい経営環境におかれる住宅会社は、さまざまな生き残り戦略を模索しています。各社がこぞって多角化を進めており、注文系ハウスメーカーの分譲市場の参入や、逆に分譲系ハウスメーカーの注文市場参入など争いが激化しています。

 分譲住宅とは、建物と土地がセットになって販売されている住宅のことで、デザインや間取りなどの設計プランをビルダーが決めています。コストが抑えられるので、いま、大手ハウスメーカーはこぞって分譲住宅に注力しているのです。

 分譲住宅で躍進しているのは、飯田グループHDでしょう。資本力を生かして積極的に土地を仕入れて、ローコストの住宅を大量に建て、販売するというビジネスモデルを徹底しています。

 分譲住宅市場での重要なカギは、土地の仕入れにあります。より良いエリアで、できるだけ広い土地を購入するのです。住宅は基本的に画一的なものですから、これによって、低コストで大量に住宅を建てることができるようになります。

 ただ、分譲住宅は低コストで大量に建てられますが、現場で施工する職人不足の問題があります。住宅業界の人手不足は深刻で、職人が全国的に足りていません。