
イオンのデータ活用専門組織として設立された「データイノベーションセンター」(DIC)は、300を超えるグループ会社と協業し、さまざまなベストプラクティスを生み出している。その一例が、「新店出店が成功するか」が5秒で分かるツールの開発である。イオン チーフデータオフィサー(CDO)兼DICセンター長の中山雄大氏にDICの取り組みについて話を聞いた。
新店成功のカギを握る「商圏分析」を自動化
──2021年3月に発足したDICはグループ会社と協力し、グループ全体としてのデータ活用を進めています。例えばどのような施策が挙げられるのでしょうか。
中山雄大氏(以下敬称略) DICのデータ解析によって「新店を出店する際の日販(1日の売上高)」を精度高く予測することを可能にしました。新店を展開する際、商圏の分析をゼロベースで行い、立地と屋号によってどれくらいの売り上げを確保できるか、事前に明らかにできるようになったということです。
通常、新店を出店する際には、商圏の大まかな人口や所得帯などの情報しかなく、実際に出店してから「繁盛店になるよう魅力的なお店を作り上げよう」と考えがちです。しかし、小売店においては立地が非常に重要で、どんなに魅力的なお店を作っても、商圏とミスマッチを起こしていると流行らないのが実情なのです。
DICが独自開発した新店分析のツールに「〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地に〇〇屋号の食品スーパーを出店する」と入力すると、5秒で非常に正確な日販数値が返ってきます。さらにこのツールは、4年先まで見通せます。
──なぜ、そこまで正確に予測できるのでしょうか。