デジタル大辞泉
「出立」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いで‐たち【出立】
- 〘 名詞 〙
- ① 家を出たあたり。門前。
- [初出の実例]「隠国(こもりく)の 泊瀬の山は 伊底拕智(イデタチ)の よろしき山 走り出の よろしき山の」(出典:日本書紀(720)雄略六年二月四日・歌謡)
- ② 旅立ち。門出(かどで)。出発。
- [初出の実例]「『いでたちしたりし』などありしかば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
- ③ 使者出発の際の儀式作法。
- [初出の実例]「殿は使の君の御いでたちの事、御覧じ果ててぞ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)初花)
- ④ 旅立ちする際の食事。また、送別の祝宴。
- [初出の実例]「晨炊蓐食は、出立ばしするやうにねむしろで食たぞ」(出典:史記抄(1477)一三)
- ⑤ 立身出世。栄達。
- [初出の実例]「大臣ののちにて、いでたちもすべかりける人の、世のひがものにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- ⑥ 出仕。宮仕え。
- [初出の実例]「大宮ものうき御いでたちなれば、とみにもたてまつらず」(出典:平家物語(13C前)一)
- ⑦ (旅立ち、出陣など)晴れの行為の準備。身じたく。
- [初出の実例]「やへむぐら心のうちに深ければ花みにゆかむいでたちもせず〈紀貫之〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)春下・一四〇)
- 「あはれに心細くて、ただ京のいでたちをすれど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
- ⑧ 身ごしらえ。服装。扮装(ふんそう)。
- [初出の実例]「さても沙那王がいでたちには、肌には薄花桜の単(ひとえ)に、顕紋紗(けんもんしゃ)の直垂の」(出典:謡曲・鞍馬天狗(1480頃))
- ⑨ ( 御用始めの意か ) 平安時代、太政官の少納言局に属し、記録をつかさどった外記(げき)の政始(まつりごとはじめ)の儀式作法。
- [初出の実例]「出立、弁少納言西屏下、当外記門南上東面、外記史列立」(出典:西宮記(969頃)七)
で‐たち【出立】
- 〘 名詞 〙
- ① 旅立ち。門出(かどで)。出発。いでたち。しゅったつ。
- [初出の実例]「Viáticum〈略〉Detachini(デタチニ) クワスル メシ」(出典:羅葡日辞書(1595))
- ② 旅立ちする際の食事。宿を出る際の食事。いでたち。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- [初出の実例]「手枕さだかならず目覚めて、出立(デタチ)焼(たく)女に」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)二)
- ③ はじまり。発端。第一歩。また、出始め。
- [初出の実例]「その信心といふはなにの用ぞといふに〈略〉凡夫が、たやすく彌陀の浄土へまいりなんずるための出立(でたち)なり」(出典:蓮如御文章(1461‐98)二)
- 「犢 タケノコノ デタチハ キナウシノ コノ ツノノ ヨフニゴザル」(出典:交隣須知(18C中か)二)
- ④ 身なり。服装。扮装(ふんそう)。いでたち。
- [初出の実例]「冠雄━いったう人のせぬてたちぞ」(出典:史記抄(1477)一一)
- 「或時、女出立(デタチ)をして、夜あくるまでおどり、くたびれて部やに入」(出典:咄本・当世手打笑(1681)五)
- ⑤ 葬礼の出棺。でたて。
で‐たて【出立】
- 〘 名詞 〙
- ① 出て間のないこと。また、そのもの。
- [初出の実例]「湯から出(デ)たての奇麗な繊い指を、代助の前へ広げて見せた」(出典:それから(1909)〈夏目漱石〉一二)
- 「まだ学校を出たての勉強ざかりの頃」(出典:蔵の中(1918‐19)〈宇野浩二〉)
- ② =でたち(出立)⑤
- [初出の実例]「ヤ出立(でたテ)とは御病人にぎゑんの悪い事いふた」(出典:浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)七)
しゅっ‐たつ【出立】
- 〘 名詞 〙 出発すること。旅に出ること。発足。かどで。いでたち。出足。しゅったち。
- [初出の実例]「可レ停二止狩猟・出立・落付一事」(出典:高野山文書‐正慶元年(1332)七月一二日・荒河荘々官等請文)
- 「この身はやっぱり鎌倉の中に隠れて、後より出立(シュッタツ)」(出典:歌舞伎・青砥稿花紅彩画(白浪五人男)(1862)四幕)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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