ラテン系女優レイチェル・ゼグラーを主役に起用するなど、封切り前から話題を集めたディズニーの実写版リメイク映画「白雪姫」が大コケ濃厚になったことを受け、ハリウッドの映画会社は〝意識高い系〟映画の製作に及び腰になっているという。

 米芸能ニュースサイト「レイダー・オンライン」はディズニー関係者の話として、ハリウッドは2017年の#MeToo運動や20年のブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動の広まりを受け、その波に乗る形で人種偏見や女性差別、LGBT差別などへの問題意識を強調した作品を作ってきたと伝えた。

 その結果、オスカー候補にもなったあるプロデューサーは、今年の米アカデミー賞授賞式の視聴率は、「誰も関心を持たない作品ばかり」で過去最低を記録したと指摘。

「〝フライオーバー州〟(西海岸と東海岸の間に存在し、主要航空便が上空を通過する中央部の州=多数派)を軽視しているとの声が聞こえてくる。そういう人たちこそがわれわれの映画を見に来てくれる観客だ」と続けた。

 さらに、別のプロデューサーは同サイトに、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは2020年、「ノミネーション条件として、作品が特定の多様性、公平性、包括性(DEI)要件を満たすことを義務付けた」と説明。

 少数民族や女性、障害者の数など、一定の条件を満たす必要があるため、「ゴッドファーザー」や「カサブランカ」のような古典映画はキャストが多様でないため、現在ならノミネートされることはないと指摘。

「その代わり、『エミリア・ペレス』(男性から女性に性転換するマフィアのボスを描いた映画)のような、少数の極左リベラル以外、誰も魅力を感じない映画が作られている」と皮肉を込めて同サイトに語った。

 だが、そういった多様性を重要視するあまり、観客離れが顕著になりつつあることから、ハリウッドは再び方向転換する可能性があると多くの製作関係者は示唆している。