
バーベキュー肉の量に米国の豊かさを感じる
個人的な話だが、筆者の知人に米国民でアイルランド移民2世の方がいる。以前は同じ自動車メーカーに勤務していて、趣味が合ったため交流を続けている。筆者がプライベートで米国へ遊びに行くと、知人は友人らとのバーベキューに誘ってくれて、大量の肉を振る舞ってくれる。自宅には使っていないベッドルームもあって、そこに泊めてもらえる。
なぜ米国はこんなに豊かなのだろう、と米国に行くたびに思う。豊かになるための努力に関して、日本人が米国人より劣っているようには決して思わない。むしろランダムに100人をつかまえたとしたら、勤勉で努力している率は日本人の方が圧倒的に高いだろう。
しかし、とやはり常に思う。米国は広い。とてつもなく広い。そして、資源から食料までがあふれている。「これには勝てないな」と思ってしまう。
米国内での鉱物生産を促すトランプ大統領令
このところ、大統領令にサインするトランプ米大統領の映像が連日のように報じられる。その大統領令の数が多いために、子細な内容が報じられるケースは少ない。日本のメディアでもほとんど報じられていないが、筆者の目を特に引く大統領令があった。それは「Immediate Measures to Increase American Mineral Production」(米国において鉱物生産を増加させる緊急施策)というタイトルで発表されている。
* Immediate Measures to Increase American Mineral Production米国の国土には莫大な鉱物が眠っており、元来はあまり外国に依存する必要がないのに、これまでの連邦政府の政策が間違っていたせいで鉱物開発・生産が進まずに安全保障上の問題が生じている――としている。この大統領令での定義では、「鉱物」としてウラン、銅、カリウム、金などを含む。さらに「鉱物生産」には派生品として、モーター、電気自動車、バッテリー、スマートフォンなどを含むようだ。
そして、重要なのは大統領令が命じる内容だ。各行政部門は、鉱物生産のプロジェクトリストを提示しなければならない。そして優先的に進めるべきプロジェクトを確定し、鉱物生産や採鉱を目的とする土地利用を優先せよ、という。同時に資金調達のプログラムも発表するとした。
大統領令の文書は延々と長い。簡単にいうと、鉱物の“ドメスティック・サプライチェーン”を構築しようとするものだ。資源埋蔵量の多い米国のポテンシャルを生かしたいという意図だろう。米国において、資源や素材から製品まで一気通貫の生産を目指している。
そして「Eliminating Waste and Saving Taxpayer Dollars by Consolidating Procurement」(政府調達を統合することで税金を節約する)なる大統領令も出している。どうも政府調達は無駄と重複の固まりのようで、6000を超える契約の見直しや終了が必要のようだ。徹底的にコストを削減し、資金を鉱物開発などに回す。なるほど、是非はおいても改革を断行する考えらしい。
* Eliminating Waste and Saving Taxpayer Dollars by Consolidating Procurement