ハイレゾが鮮明に映し出す、“光の三原色”——the chef cooks meによる渾身のキラー・シングル

COMEBACK MY DAUGHTERSやチャットモンチーなど、数多くのバンド・サポートを務める下村亮介と、佐藤ニーチェ、イイジマタクヤによる3ピース・バンド、the chef cooks me。2003年から活動を始めた彼らは、幾度かのメンバー・チェンジを経て、現在は管楽器、コーラスなどのサポート・メンバーを迎えた大人数編成でポリフォニックなバンド・グルーヴを展開している。その音像をパッケージングしたサード・アルバム『回転体』は、アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文をプロデューサーに迎え、インディー・シーンはもちろんのこと、自身としても金字塔とも言える上質なポップス作品となった。その発売を経て、彼らが全4曲のシングル『RGBとその真ん中』をハイレゾでリリース。パーカッシヴなディスコ・チューンや、ライヴ時に観客と共に録音したコーラスを使用するなど、明らかにバンドとして新機軸な今作品をぜひハイレゾでご堪能あれ。
the chef cooks me / RGBとその真ん中(24bit/96kHz)
【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV / AAC(24bit/96kHz) : 単曲 249円(税込) まとめ購入 800円(税込)
【Track List】
01. PAINT IT BLUE
02. ふぞろいの赤
03. エメラルド
04. キャンバスに幻を
重ね合わせた先に現れる色は白なのである
音楽が昔ほど売れなくなってしまった今、シングルという形態を出すアーティストは昔ほどいなくなってしまったし、その意味も少し薄くなってきたようにも思える。そんな中でシングルを出すことへの意味をしっかりと内包させた4曲が、今回のthe chef cooks meの1年半ぶりの新譜『RGBとその真ん中』と言えるだろう。この4曲だからこそ生まれた強度とバランス、傑作『回転体』とはアプローチを変えながらも、シェフの持つ底なしのポップネスが濃縮された作品となった。
1曲目を再生した瞬間から、前のめりに曲が始まり、突き抜けるサビがどこまでも伸びていく印象を受ける「PAINT IT BLUE」。この曲の一番の聴き所は、昨年11月の大阪のライブで観客の声を収録した圧巻のコーラスだろう。そしてそのアップ・テンポな曲調とは裏腹にどこか物憂げな歌詞との対比が面白い。2曲目の「ふぞろいの赤」はミッド・テンポのファンク・ナンバー。気持ちの良いギターのカッティングと、曲をどっしり支えるリズム隊のアンサンブルが気持ち良く耳を通り抜ける。3曲目の「エメラルド」はシンセの音色とボーカル下村亮介のファルセットが浮遊感を醸し出すスロー・ナンバー。中盤にはラップ調のパートも織り込まれている。そして最後の曲「キャンバスに幻を」。じわじわと盛り上がり、サビで爆発を見せるが、このシングルの最後であることで、強い意味を持つ歌詞が何よりも印象的な1曲だ。
そもそも「RGB」というのは色の表現方法の1つで、赤、緑、青の3色を重ね合わせていくことで色を表現するのだが、重ね合わせた先に現れる色は白なのである。このシングルもそれに準じて赤、緑、青とそれぞれの色を想起させるタイトルが付けられていて、その最後はキャンバス、すなわち白がフィーチャーされている。最初に書いた“この4曲だからこそ”というのは、「PAINT IT BLUE」から始まり、最後「キャンバスに幻を」を聴き終えた時に、この作品がきちんと完結していく気持ち良さがそこにあるからなのである。シングルという形態におけるコンパクトさの利、そこに持たせるコンセプト、最後に来るカタルシス。全てが気持ちよく落とし込まれた今作、絶対に曲順通りに聴くことをお勧めしたい。(text by 高木理太)
RECOMMEND
Gotch / Can't Be Forever Young (24bit/48kHz)
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文こと“Gotch”による待望のソロ・アルバム。the chef cooks meの下村亮介をはじめ、Turntable Filmsの井上陽介やストレイテナーのホリエアツシなど、現在の音楽シーンを支える面子が勢揃い。Gotch自身が、グロッケン、ターンテーブル、シンセサイザーなどあらゆる楽器を作品に盛り込んだことで、奥行きのあるアレンジ、サウンドに仕上がっている。
後藤正文をプロデューサーに迎えた、岩崎愛によるシングル作品。「哀しい予感」には、レイ・ハラカミをはじめUA、大橋トリオなど数多くのアーティストの作品にもタブラ奏者として参加しているU-zhaan、そして原田郁子(クラムボン)、知久寿焼(たま)ら著名アーティストと共演しているスティールパン奏者のトンチを迎えて、今までにないアレンジと心を振るわせる歌声が印象的な楽曲となっている。また、映画『風立ちぬ』の主題歌にもなった荒井由実の「ひこうき雲」のカヴァーも収録。
ayU tokiO / 恋する団地
the chef cooks me のギタリストとしても活動していた、猪爪東風(イノツメアユ)のリーダー・プロジェクト、ayU tokiOによる3作目のミニ・アルバム。ロック、トラッド、オリエンタルなど、あらゆる要素を自身のポップスに落とし込んだ音は必聴。
LIVE INFORMATION
the chef cooks me ワンマンショー『京の街の色柄』
2015年02月10日(火)@京都磔磔
OPEN / START : 18:00 / 19:00
the chef cooks me ワンマンショー『ぼくたちの街柄』
2015年03月07日(土)@恵比寿リキッドルーム
OPEN / START : 17:30 / 18:30
PROFILE
the chef cooks me
2003年結成。磯部正文(HUSKING BEE)BANDやCOMEBACK MY DAUGHTERS、ASIAN KUNG-FU GENERATION、後藤正文、最近ではチャットモンチーのサポートメンバーとしても活躍中のシモリョーこと下村亮介(Vocal,Keyboards,Programming,Songwriter, etc...)、佐藤ニーチェ(Guitar)、イイジマタクヤ(Drums、Percussion)、の3ピースバンド。
都内を拠点に精力的にライブを行い、ポップスやロックなどさまざまな要素を取り入れたサウンドと個性的なライヴ・パフォーマンスを行う。
幾度かのメンバー・チェンジを経て、管楽器、コーラス、鍵盤などサポート・メンバーを迎えた10人編成のポリフォニックなバンド・サウンドとなり、2013年9月、後藤正文のプロデュースのもと、3rdアルバム『回転体』をonly in dreamsよりリリース。そのアルバムをひっさげて約5年ぶりの全国ツアー『回転対展開tour2014』は各地大盛況、ツアーファイナルの東京キネマ倶楽部公演はソールド・アウト!
その後もRECORD STORE DAY 2014での7inchEP『ハローアンセム』のリリースや、各地の夏フェスにも出演し、更なる編成変更をしながら常に前に進み続ける。年末、幕張国際展示場行なわれる COUNTDOWN JAPAN14/15にも出演が決定!
そして、2015年2月4日リリースの『RGBとその真ん中』をひっさげ、2月10日に京都磔磔、3月7日に恵比寿リキッドルームにてワンマン・ライブ開催決定!!