全2166文字

 都内に在住する男性がマイナ免許証を取得したところ、古い運転免許証の顔写真が記録されるという珍事が起きていた。人的ミスによるものとして警視庁が男性に連絡して顔写真情報を修正し、警察庁は都道府県警に再発防止の指導を通知したことが日経クロステックの取材で分かった。

 マイナ免許証はマイナンバーカードと運転免許証を一体化するもので、2025年3月24日から運用が始まった。希望者が運転免許試験場や免許センターなどで手続きすると、警察庁がマイナンバーカードの内蔵ICチップの空き領域に「免許証カードAP」というアプリケーションを登録する。2025年3月末時点でマイナ免許証の保有者数は11万7589人に達した。

 都内に在住する男性は2025年3月24日に運転免許試験場で、運転免許証に加えてマイナ免許証を取得した。運転免許証とマイナ免許証の「2枚持ち」と呼ばれる手続きだ。

 ところが、運転免許証の券面や内蔵ICチップに記録された顔写真と、マイナ免許証に記録された顔写真が異なっていた。新たに取得したマイナ免許証には、現在保有する運転免許証に更新する前の古い顔写真情報が記録されていた。

 男性が警視庁や運転免許試験場に問い合わせたところ、当初は「マイナ免許証と運転免許証で顔写真が異なっていても、氏名や住所などの顔写真以外の情報は最新なので免許の効力に影響はない」という説明を受けた。写真の変更には別途手数料が発生すると説明されたという。

 警察庁は日経クロステックの取材に対して、都内の運転免許試験場が発行したマイナ免許証と運転免許証の顔写真が異なる事態があったことを警視庁に確認したという。男性は後日、運転免許試験場でマイナ免許証の写真データを運転免許証と同じ顔写真情報に無償で修正してもらった。

「マイナ免許証読み取りアプリ」の画像(左)と「運転免許証ビューア」の顔写真情報が異なっていた
「マイナ免許証読み取りアプリ」の画像(左)と「運転免許証ビューア」の顔写真情報が異なっていた
(出所:都内在住の男性が日経クロステックに提供。画像の一部を加工した)
[画像のクリックで拡大表示]