
(ライター、構成作家:川岸 徹)
静嘉堂が所蔵する国宝《曜変天目(稲葉天目)》。その「謎めいた美しさ」の解明に挑む展覧会「黒の奇跡・曜変天目の秘密」が静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で開幕した。
最新の研究成果を紹介
東洋陶磁の至宝《曜変天目》。黒釉が掛けられた碗の内面に大小の斑文が現れ、鑑賞者の心を惑わすような神秘的な青い輝きを放っている。この《曜変天目》、世界で現存が確認されているものはわずか3点しかない。いずれも日本に伝わっており、大徳寺龍光院(京都)、藤田美術館(大阪)、静嘉堂文庫美術館(東京)が所蔵している。
これら3点の《曜変天目》はすべて国宝に指定され、唐物の天目茶碗の最高峰と呼ばれているが、その歴史や製法、伝来は多くの謎に包まれている。中国のどこで作られたのか、なぜ製造元の中国には残されていないのか、どのようにしたら不思議な色合いを生み出すことができるのか。
いまだ多くの謎をもつ《曜変天目》。これまで謎解きは日本国内を中心に進められてきたが、2000年代に中国杭州市で《曜変天目》の破片が発見され、研究は中国でも進展を見せている。そうした最新の研究成果をもとに、改めて《曜変天目》の謎に迫る展覧会が、静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で開幕した「黒の奇跡・曜変天目の秘密」だ。