【野村萬斎、熱弁(2)】「職業・羽生結弦」に期待「殻が破れ、芽が出て、花開いている」

[ 2025年3月8日 09:15 ]

<羽生結弦notte stellata2025>野村萬斎とボレロを舞う羽生結弦さん(撮影・長久保 豊)
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 フィギュアスケート男子の五輪連覇者でプロとして活動する羽生結弦さん(30)が座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata 2025」が7日、故郷の宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開幕した。スペシャルゲストの狂言師・野村萬斎(58)とコラボレーションが実現し、平昌五輪のフリー曲で伝説的プログラム「SEIMEI」で鎮魂の思いを込めた。以下は公演後の野村の一問一答。

 ――「SEIMEI」のプログラムも10年目になる。
「(成長は)私もうれしく思う。あの頃は僕としゃべっている時には彼らの中にもちろん内包されているものなんだけど、まだ言語化されていなかったし。それが多少、私の言葉も含めてね、今までの経験などで、だんだんこう殻が破れて、芽が出て、まさしく今花開いているなと。そういうような思いで素晴らしいなと。やっぱり我々は年を老いていくわけですよね。次なる人々がやっぱりいろんな意志を継いでくださるとかいうようなことで、とてもうれしく思いますね。それが僕自身も先人から能や狂言の一種、知識であるとか経験の中で僕が思っていた思いが彼が受け取ってくれて、それをこういう形の素晴らしいショーにして。かつ鎮魂というね、大きなテーマあるということが素晴らしいですね。僕はつくづく思うんですけれども、最後のあいさつを聞いていても、職業・羽生結弦さんと私は最初にお呼びしたんですけれども、私が職業・野村萬斎と名乗ってるもんですからね。今日思ったのは、僕自身も何か日本の文化、伝統文化を背負って生きているつもりです。彼の場合はまた彼なりの何か非常に大きなものを背負っている。そういう意味でね、公人というかね、公の人というか、単なる個人の活動という枠を超えているところが素晴らしいなと思いますね。やっぱり彼の何かスケートにとどまらない意思、発想、行動力、そういうものが、本当に凝縮された素晴らしいショーであったなという風に思います。職業・羽生結弦はますますもっとこう、何か彼のできることを成し遂げていくんだろうなというふうに思いますよね。それは本当にありがたいことでございますね」

 ――対談で「省略の文化」という言葉を言っていた。今回のボレロで意識した点は。
 「そうですね、ボレロはいろんなつくり方をしていくうちにどんどん、どんどんそぎ落としていったのは事実ですね。ですから、元々には能、狂言にある翁、三番叟というものが基にあるんですけども、それを3・11に含めた祈りに変換してくという作業の中で、具体的に実は子供を抱き上げて助けを求めたりとか。苦しい中にも花は咲くよとか、雨も降るよ、夏も来るよと。そういうようなイメージで、多少具体的にしながらもそれを抽象的な概念にしていって、何か最終的に人間の一生が垣間みられ、死からもう1回次の生に飛翔する。それが最後のジャンプにつながるというような意味合いを込めているわけですね。ですから、見ていると非常に抽象的に見えるかもしれませんけど、そういう思いで見ていただくと何か特別に見えてくるものもあると思うので、是非ね、またボレロも続けて共演できるといいですね」

 ――今回、羽生さんは式神になるのか。
「今回、そういう意味で言うと、その『SEIMEI』を作ってる中で、どういう関係性にしようかっていうので。もちろん『ふっ』って、僕が人型の紙を落とすところから始めるので、もちろん式神ということですけれども。途中の僕が舞ってる間に控えてらしたのもね、こっちに来てから発想されたことです」

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