大阪・関西万博が13日、大阪・夢洲で開幕した。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日までの184日間で158の国・地域が参加する。開幕日はあいにくの雨で、多くの人が詰めかけて会場では混乱も起きた。期待と不安が入り交じってスタートした万博初日をリポートする。

 開場となった午前9時過ぎ、雨はやみ、時折晴れ間も差す中、「1万人の第九 EXPO2025」として佐渡裕氏指揮のもと1万人によるベートーベン「交響曲第9番」第4楽章の大合唱でオープニングを飾った。最後には「ブラボー」の声とともに、花火が打ち上げられた。ただ花火のごう音を落雷の音と勘違いした人が万博のシンボル「大屋根リング」の下に逃げ込む一幕もあった。来場客は「見えないところで上がる花火は怖い」と話した。そのリングには雨よけのため避難する人も多かったが、早くも〝雨漏れ〟している場所もあった。

雨漏りがしている大屋根リング
雨漏りがしている大屋根リング

 今回の万博は「安全安心かつ、シームレスに切り替わる公衆Wi―Fiサービスを提供」と大々的にうたっていたが、昼過ぎにはWi―Fiがつながりにくくなった。アプリで会場地図に接続できなくなったためか、案内所で販売している有料の紙の会場地図を求めて雨の中、長い行列ができた。

 夕方には消防車と救急車のサイレンが鳴り響いた。「店から煙が出ている」という通報があり、消防車14台が東ゲート付近に集まったが、結果的に〝誤報〟だった。

2時間待ちのパビリオン
2時間待ちのパビリオン

 この日は悪天候で、予定されていた空飛ぶクルマのデモフライトが中止。航空自衛隊の「ブルーインパルス」も特別飛行を取りやめた。万博会場は海に浮かぶ埋め立て地のため、海からの風が強い。気温以上に体感温度は低いため、4月中旬にもかかわらず午後3時ごろには観客に低体温症への注意をアナウンス。来場客は「まるで台風、傘が折れそう」と叫んでいた。

「並ばない万博」と打ち出していたにもかかわらず、〝食事難民〟が続出した。会場内のくら寿司には朝から220分待ちの行列ができ、コンビニには会計を待つ人で屋外まで行列が延びた。海外パビリオンの飲食店では、早くも午後2時過ぎには新たに行列に並ばせない措置を取った。ある来場客は「何時間待ってもいいからカフェに入りたい。行列に並ばせてほしい」と訴えるも、スタッフは「一度入ったお客さんが出ないので、行列が進まないんです」と説明に追われていた。

レストランにも長蛇の列
レストランにも長蛇の列

 万博自慢の、一部は2億円もの建設費をかけたデザイナーズトイレも混乱を誘発した。ピクトグラムを目印にトイレを探すものの、そもそもどれがトイレなのか、入り口がどこなのか分からない来場客が多く出現した。ようやくトイレを見つけることができても、隣のパビリオンまで延びるほどの大行列となっていた。

話題になった超高額トイレ
話題になった超高額トイレ

 会場内には喫煙所がなく、東ゲート付近に2か所しかないことも話題になっていた。タバコを吸うためには一度ゲートを出なければならず、一服したい親とまだ遊びたい子供の〝攻防戦〟があちこちで見られた。またあまりの寒さに帰りたがる子供と、それをなだめる親という構図もあった。

 雨という悪条件もあり混乱とともにスタートした万博。閉幕の頃には解消されているだろうか。