2024年3月25日、関西独立リーグのゼロロクブルズ vs 和歌山ウェイブス戦(筆者撮影)

 2025年3月11日、一般社団法人日本独立リーグ野球機構(IPBL)は、2月の理事会および社員総会にて、一般社団法人関西独立リーグが社員として加盟したことを発表した。この関西独立リーグは「2代目」になる。

 ここまで、当コラムでは日本の独立リーグの歴史を紹介してきたが、関西独立リーグは、2005年の四国アイランドリーグ(現四国アイランドリーグplus)、2007年のベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)に次いで、2009年に設立された初代関西独立リーグの流れを汲んでいる。

 日本に「独立リーグ」という新しいカテゴリーが生まれてからの道は、苦難の連続だったが、四国アイランドリーグplusとBCリーグは、独自のビジネスモデルを構築し、社会の信用を得てここまで存続してきた。

 2014年、両リーグは日本独立リーグ野球機構(IPBL)を設立。社会人野球やプロ野球、アマチュア野球の交渉の窓口として独立リーグの地位向上に尽力してきた。このIPBLに、2021年に誕生した九州アジアリーグ、22年に誕生した北海道フロンティアリーグ、さらに日本海リーグは、審査を経て加盟が認められている。

2023年9月30日、IPBLグランドチャンピオンシップ(筆者撮影)

 しかし関西独立リーグはその流れの外側にいた。というより、その流れに乗りたいのに乗れなかった。初代の関西独立リーグは離合集散を繰り返し2013年に解散。2014年には2代目の関西独立リーグが設立され、2020年にはさわかみ財団と契約して「さわかみ関西独立リーグ」と名乗り、運営の基盤は強化された。

 そして、さわかみ関西独立リーグもIPBLへの加盟を目指し、毎年加盟申請を提出していたのだが、これまで加盟が認められなかったのだ。

 その意味でも今回の加盟は、独立リーグの歴史上、大きなニュースだと言える。その背景について受け入れる側であるIPBL会長で四国アイランドリーグplus代表の馬郡健氏と、受け入れられた側の一般社団法人関西独立リーグの矢白木崇行代表理事に聞いた。

IPBLが求める水準に達していなかった関西独立リーグの運営体制

 IPBL会長の馬郡健氏は慶應義塾大を卒業後、電通を経てアメリカでインターネット関係の事業に携わった。その後、帰国し東京でIT企業を経営。大学時代は競泳の選手として、また卒業後は慶應義塾大学体育会水泳部(競泳部門)の監督を務めた経験を持つ。

IPBL 馬郡健会長(筆者撮影)

 2019年に四国アイランドリーグの創業者で、IPBLをBCリーグと共に設立した鍵山誠氏から四国アイランドリーグplus、IPBLの職務を引き継いだ。新型コロナ禍の2020年には、リーグ全体のコストダウンに努めるとともに、運営のDX化を推進するなど経営改革に取り組んできている。

「ここ数年、関西独立リーグさんからは加盟申請をいただいていたのですが、IPBL側から見ると、独立リーグの運営設計というより、クラブチームに近い形で運営されていると見える部分がありました。

 また、独立リーグのチームが、NPBのファームチーム、学生野球、社会人野球など他団体と交流試合をしていくには、安全対策も含めしっかりとした運営体制の構築をしなければならない。一度でもトラブルが起きたら、各団体とお互いの信用で成り立っている良い関係が難しくなるかもしれない。関西独立リーグさんの場合、リーグ、チームの体制が我々の考える独立リーグと異なる部分があり一緒にやっていくには難しい側面がありました。

 何度も申請をいただきましたが、どうしても我々の求める体制ではなかった。資料も数多く作成いただきご尽力いただいたことは感じていましたが、やはり加盟は難しいと判断せざるを得なかった」

3月29日、四国アイランドリーグplus徳島 vs 愛媛の開幕戦(筆者撮影)