ブーレーズ生誕100年で演奏会続く「時代が変化した」

20世紀後半以降の前衛音楽最大の権威ともいえる作曲家ピエール・ブーレーズ。その生誕100年にあたる2025年春、日本で関連する演奏会が相次いで開かれる。
東京・春・音楽祭(3月14日〜4月20日)の中の催しで、まずは3月26日にオーストリアの現代音楽の団体、クラングフォルム・ウィーンがブーレーズの出世作「ル・マルトー・サン・メートル」などと、やはり生誕100年にあたるイタリアの作曲家ルチアーノ・ベリオの作品を演奏し、同時代の2人の作曲家を比較した。
続いて4月9、10日に、生前のブーレーズ自身が創立したフランスの楽団アンサンブル・アンテルコンタンポラン(EIC)が日本で演奏会を開く(東京文化会館)。
9日はブーレーズの作品と、関係の深い作曲家M・ジャレルの作品が交互に演奏される。合唱が加わる作品もある。現在のEICを率いる指揮者のピエール・ブルーズは「これを機に、日本でもブーレーズの作品が演奏会の一般的なレパートリーになってほしい。有名なクラシックの楽曲と同じように、よく演奏されるようになってほしい」と話す。
演奏するのも、聴くのも難解といわれるブーレーズ作品だが、本拠地のパリでは「聴衆の反応が変わった。おそらく時代が変化した」とブルーズはいう。「聴衆が新しい作品、未来の作品への好奇心を持っている。もちろん、演奏する側が、弾くだけで精いっぱいになるのではなく、きちんと音楽にする必要はあるが、感動してくれる聴衆は確実に増えている」
日本でも世界でも「新作を中心にした演奏会がもっと増えていい時期にきている」と感じるという。
(瀬崎久見子)