歌舞伎「忠臣蔵 大序〜四段目」、発端は横恋慕 上村以和於
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松の廊下の刃傷があったのが元禄14年3月14日、討入が行われたのが一年九カ月後の翌年12月14日のことだが、『仮名手本忠臣蔵』では四季の巡りに沿って展開し、一年間のこととしている。発端の「大序」は「頃は暦応(りゃくおう)元年如月(きさらぎ)下旬」と語り出す。
「暦応」という元号は後醍醐天皇の親政が行われた「建武(けんむ)」に続くもので、中興が潰(つい)えたこの年が足利政権の元年、討死した新田義貞...
長年にわたって歌舞伎の舞台を見続けている演劇評論家の上村以和於氏が、名作・名場面に隠されたエピソードや登場人物の横顔を詳しく紹介します。