鈴木忠志(演出家)

日本の演劇人としては海外で最も著名な演出家の鈴木忠志さんは、主宰する劇団を率い世界各国で公演し、訪ねた先は30を超えます。富山県の山間地に半世紀近く拠点を構え、合掌造りの劇場や野外劇場で日本初の国際演劇祭を開いたことでも知られます。日本の伝統を生かす身体訓練法は海外で注目され、米国や中国で演劇教育に用いられています。日本では欧米に比べて劇場文化への社会的支援が少なく、演劇人は経済的苦難に直面します。この点でも大きな影響力を発揮し、水戸市や静岡県で公共劇場の新しいシステムづくりに情熱を注ぎました。文化政策を提言し、劇場を取り巻く環境の改善に努めた経験は「文化立国」のこれからを考える上で貴重な示唆を与えてくれます。

鈴木忠志(演出家)
第1回を読む