INTERVIEW 4 : 福永泰朋(つばさレコーズ所属)

福永泰朋
つばさレコーズ所属。水曜日のカンパネラ、xiangyu、珠鈴らのマネジメントやA&Rを担当。チームの統括を行う。
──つばさレコーズにおいては、基本的にアーティストの方はみんなメジャーを目指そうという目標があるんでしょうか?
全員がそういうわけではないですね。どうやって売っていくかを考えるなかで、メジャーと組んだほうがいいのか、ずっとインディーでもいいのかを選択できるようにしています。僕のチーム以外でも、男性アイドルグループを担当していたり、弾き語りのSSWを中心にやっているチームもあって、そこのなかで情報交換ができるんですよ。それぞれのノウハウやパイプを使って、うちの会社では、インディーズとしても売り出すことはできるんですよね。水曜日のカンパネラもインディーズのときにMステに出させていただいたりしました。
──つまり、売っていくなかでインディーズとメジャーを選択していると。
そうですね。メジャーが向いているアーティストもいれば、ずっとインディーズのほうがいいアーティストもいると思うんですよ。メジャーのチームの方が得意な事って、大衆に向けて広げていきたいプロジェクトに対してすごく機能すると思うんですね。市場調査をしっかりしているので、本当にマスに売っていきたいなら、経験値が豊富なメジャーレーベルの知見やネットワークは力になるところなのかなと思います。
──なるほど。
例えば、TikTokでバズったときに、そういう状況に慣れてないとどこまで延びるかもわかんないんですけど、経験豊富なメジャーの人と組むことによって、「これはもう少ししたら下火になるから、もっと伸ばすためのネタを用意しましょう」とか、そういう話ができる。インディーズの環境でもそういう経験が何度もあれば良いと思うんですけど、いろんな知識を持ってる人を仲間にして、相談できる人をどう増やしていくかという意味では、メジャーと組むのはアリなのかなと思います。でも、「ゴリゴリなパンクなことしかやりたくないし、パンクが好きな人にだけ届けばいいんです」みたいな志向のアーティストはあまりメジャーには合わないかもしれません。メジャーのなかでも相性のいい人がいるんだったら組んだらいいと思いますし、目指す方向がマスや大衆じゃないんだったら別にメジャーでやらなくてもいいのかなと思いますね。
──時代が流れるにつれて、メジャーとインディーの違いが変化してきた感覚はありますか?
僕が最初に音楽業界に関わった20年前は、メジャーに進出しないとCDも全国流通ができなかったんですよね。そこからインターネットが広がって、10年前くらいから、アイドル文化やネット発のもの、サブカルっぽいコアな音楽がおもしろいよねってムードになってきたんですよね。そしてさらに多くの人がYouTubeでMVを見るようになって、簡単に誰でも会話や発信ができるようなSNSもできた。当初は目新しかったSNSでの音楽情報も最近は、音楽情報が逆に飽和し始めてきていますね。
──確かにそうですね。
DTMの機材も充実して、ある程度のレベルの楽曲が個人で制作できるし、ネットにすぐ出せるプラットフォームも揃っている。音楽そのものも飽和してきてる気がします。メジャーとインディーの役割も変わってきていて、本当に20年前ぐらいだと、メジャーに進出してテレビに出ることを目標としていたのが、いまは個人でもネットの力を使って、しっかりとしたファンを掴むことができるようになっています。メジャーという仕組み自体に頼るというよりはメジャー・レーベルの思考を持った人と一緒に仕事をしたいかどうか。という判断にインディーだけでなくアーティストとしての個人の単位としてもどんどん変わってきているような気がします。
──そういう状況のなかで2022年のいま、メジャーとインディーそれぞれのメリットってなにがあると思いますか?
縛られずに自分で考えたことが実現できるので、アイデアが豊富にある人であれば、インディーのほうがメリットがあるのかなと思いますね。もちろん自由に気ままにできるからこそ、逆にいえば、独りよがりになることもあるかもしれない。インディーズだと同じような高さで物事を見るので、結局同じような視野での話しかできなくなってしまう可能性がある。だからこそ、違う角度から多くの人と話せるって意味では、メジャーのメリットはあるのかなと思います。メジャーでもインディーでも最終的には関わってくれる人を信じられるか、信じられるチームを作られるかがいちばんの決めてかなと思います。
──メジャーに進出するPIGGSに期待することはありますか?
やっぱり売れてほしいですね。このままお茶の間に広がったときに、プー・ルイさんの価値観ってすごく強いんじゃないかなと思いますし、いろんな人に影響を与えていくんじゃないかと。PIGGSはそういう存在になれるんじゃないかと思います。