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2025-03-23

この連休乗り鉄日記(2日目)

反響がいただけたので、anond:20250322200443の続き。

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2025/3/22(2日目)

興奮であまり深く眠れず、6時前には起床。

ホテルバイキングには開始時から待ち、カレー和食と十分に食う。

コーヒートイレちゃんと済まし、2日目は7時半前の愛知環状鉄道から

路線単線と複線がしょっちゅう切り替わり、複線用地もちゃんとわかる。

ひたすら高架で見晴らしもよい。

名鉄クロスしては川を越え、簡単な造りの車庫。

東名などと絡んではトヨタ本社が広い。

シャトル列車の走る名鉄との並走区間を越えて、都市部から一気に山に囲まれ田畑ギャップ

ただ乗るのも飽きてきたので、今日wikipedia見て、各駅や路線をより知ろうとする。

四郷のマンション瀬戸口空き地貨物予定地だったのか。

八草から先では、万博の影響で上下線のホーム長が違う駅も。

立体で高蔵寺に進入し、対面の中央線は新しい315系。

勝川からは、いわくつきの城北線

調べてた通り、一般道をしばし歩くことに。

入口ではまたもSuicaが使えないことを知り、ホーム階にあがっては中央線にどう繋がるのか不思議に思う。

駅までの距離を伸ばす一因である車庫には車両は無い。

ホームにはちょうど折り返しがやってくる。

休日とはいえ、1時間毎の便なのに6人しか降りてこないのか。

時間があるので、それらを写真に撮っては、ホームそばまで複線で来るレールや名二環を見渡す。

乗れば、緑の看板が並走するほど都市部なのに、単行気動車がすれ違いもしない頻度で走る不思議さ。

こちらもやはり見晴らしはよく、JCTの絡まりもこの距離で見られるのは嬉しい。

名鉄上小田井駅が見えては、その先に接続用だったらしい立体が上下に分かれる。

そして貨物線上の枇杷島駅に入り、16分はあっという間。

ちなみに運賃は割高なので乗り通す客は少なく、どんどん入れ替わる。

現金精算しては自動改札なので、降車証明書をもらう。

すぐ乗り換えての名古屋では「しらさぎ」を見る。

中央線で行程をほぼ戻っては、金山も懐かしく見ての大曽根

見上げる位置には、ゆとりーとライン

階段から改札もなく中に入れば、ほぼバスな車体を転回所に撮り、両サイドのレールもよく見ておく。

車内は最前列に陣取り、今回は車窓よりも運転の様子を見る。

本当にハンドルから手を離して指差し喚呼してる!

しかし車内は特殊機構を感じない。

普通バス程度は揺れがある。

名鉄を越えるなどでは、鉄道に無いような高低差が珍しい。

最高速度は60km/hで、カーブごとに制限をくらう。

あとはさすがバスであり、細かく停まる印象だが、ドームがあったりして一区画でも乗る人がいる。

そして、小幡緑地先の切り替え作業

これが見てみたかったのだ。

運転手がハンドルの両サイドにあるレバー上下に振ると、側面下部からゴンゴンガイドの収まった音がする。

そして運転手はハンドルをとり、教習所みたいなS字カーブ一般道へと入る。

一般道入ってすぐの停留所で降りて引き返す。

名二環を越える下り道は長く、庄内川もあって遠くまで見渡せる。

ちなみに、本質的バスなので、途中下車は車内を通るのがかなり面倒だった(他の客に倣い、中降りして前に回り込んでタッチする)。

専用区間だけでも連結バスにすればよいのにと思うが、特殊な規格だから改修もままならないのだろう。

そして、砂田橋から地下鉄

地下鉄新規区間だが、車窓は無いので乗ってるだけ。

名古屋地下鉄10分毎が多くてやる気がなく思ったが、名城線に乗る人数を見たら妥当か。

本山から東山線で、こちらは混んでて5分毎。

一社からは高架となり、こちらでも名二環が目立つ。

藤が丘は引き上げ線で入れ換える形で車庫にもつながっているようだ。

そしてまたの特殊車両であるリニモに乗るため、地下に降りる。

構内はLED的な白い明るさが、未来性を感じさせる。

自動運転だし、元は万博用の見世物でもあったわけで、妥当な装飾か。

一方で、ジブリパークの案内が目立ち、乗客若い女の人や外国人が多い。

ちなみに、リニアなので車体は浮いてるはずだが、浮遊感みたいなものは無かった。

でも新交通にしては明らかに速いし、それでいて静かなのはよい。

万博公園は有名だが、長久手古戦場にもアクセスできるのは近づいてから知る。

公園に近づけば観覧車が迎える。

ジブリ的な建物は遠景として一応撮り、車内は一気に人が減る。

車庫は万博駅につながっている。

八草も引き上げて折り返しなのね。

八草では12時前なので、申し訳なさで親へのメールをこなし、2度目の愛知環状鉄道

少し乗ってはついでの名鉄瀬戸線。

尾張旭で緩急接続するイメージだったが、かなり昔から昼間は各停だけだったのね。

そしてすぐに尾張瀬戸は櫛形駅の平面移動で外に。

瀬戸物の街であり、少し歩いてみると川の両端に陶器屋が並んでいる。

奥に行くと工芸館とかあるらしいね

ロードバイクも見かけ、自転車乗るにもいい暖かさとなってきたなあと思う。

脚が慣れてないが、また自転車で遠くに出かけたくなってくる。

折り返しては、尾張旭では折返線が両面に。

喜多山は高架化の途中で、追い抜きも無いのに2面4線が保たれている。

守山自衛隊前では、ゆとりーとラインを見る。

そして矢田川を越えて、再びの大曽根では、商店街イベント紹介もあった。

名古屋城が近づくと地下へ入って栄町

シンプルな2面2線で、封鎖された避難口らしきもみつける。

と、そもそも名古屋城を見たことが無いのに気づき名城線で近くに移動する。

地上に出れば、瀬戸線が走っていたお掘りが目の前に!

ブラタモリで見たやつだ。これは嬉しい。

そして道路にも、名古屋固有の乗り物である基幹バス

さらに、この歴史的建物は何かと思って調べたら、市役所なのか!これまた豪華。

横丁なる食事から天守閣へと近づき、有料区画に入るか悩むが、耐震性で天守閣に入れない代わりに500円とリーズナブルなので入ってみる。

(昨日もだが、乗り鉄なのか観光なのか旅の目的が定まってないな。)

中は有料区域ながら、まるで普通公園みたいな人の多さに出店の多さ。

そして14時となり暑いくらいで上着も脱ぐ。

石積を積み直すコツコツさを傍らに、出店には縁日な遊びやゴザもあり、早咲きながらも桜らしきがありですっかり花見みたい。

さる軍団まで来てた。

西の丸からシャチホコある天守閣をそんな桜とともに一枚。

西南隅にある櫓をじっと見ては正門から内へ。

まずは御殿が占めていて、回り込んでは天守閣

しかに入れないことを確認しては、エレベーターまで付いてたことを知る。

手ぬぐいとか渋い品目のショップを見ては、現在のメインである本丸御殿にも入る。

十何人かまとめてずつの入りでしばし並び、荷物建物にぶつけぬようロッカーまで準備する念の入れよう。

カメラは可だったので何枚か撮ったが、金箔に描かれたふすま絵やら、立体に作られた装飾やらで、造詣ないゆえ理解はできずもひたすらすごいって感じで過ごす。

その解説で、「こけら」って木くずのことを言うから、「こけら落とし」になることを知る。

あと、太い松の切り株の輪切りに大谷サインが書かれてたのが印象的。

そして御殿を外から一枚撮っては北側(開かずの門)から出て、水の張るお掘や大きな石。

武将握手会してるなど皆が楽しむ様子も見て、名古屋城をあとにする。

市役所から基幹バス体験

黄色く塗られた道を右レーンながらも真っすぐ出る不思議さ。

料金は均一の後払いなのね。

しかし、ほどなく桜通大津から普通レーンとなり、普通バスと変わらなくなる。

駅前では結局混んで時間かかったし。

でも名古屋駅のバスターミナルは初めてだった。

あおなみ線へは北東端から西端への乗り換え。

晩飯を豪華にするべく昼間はパンひとつ我慢してたが、耐えきれずおにぎりに手を出す。

改札上には、コンサートらしきでノンストップ臨時列車が出る旨の案内。

そっか、デフォルトが少ないのは、フレキシブルに便数を増やすからなのね。

おにぎりを慌てて食って乗れば、近鉄としばし並走しつつ、両方の車両区を上から見下ろせる。

路線の起こりである貨物列車ともすれ違う。

ノンストップとうたっているが、港湾部までは60km/hくらいでわりとゆっくり

東山線の車庫を見て、南荒子には貨物ターミナル

工場から港湾へと移り変わり、名港トリトンもこんなところから見れるだなんて。

野跡手前で降りる車庫線。

そして、金城ふ頭に着くが、キッチンカーが出るほどの人の並び。

反対側にはレゴランドで、原色ブロックが付いたような建物モールである

ノンストップ便の帰りは回送なのね。

と一通り見ては、まさかこんなに人が多いとは思ってなかったが、せっかくなのでリニア鉄道館にも若者たちの間を抜けて近づく。

わりと平たい建物には、券売機の横にある案内によると、記念車両が並んでいるようである

外にも、N700のA改造車が3両分置いてあり、これは中に入らずとも見られる。

トリトンを撮り直しては、日陰となったベンチでここまでの日記を書き出す。

そうして場に馴染んでの帰りはイベントと逆方向だが、他の会場があるのでそれなりに混む。

それでも名古屋駅には明るいうちに帰れて、帰りも行程を復習できた。

のぞみ」は18時前の発。

終わってみると、あっという間だった。

昨日と違って、道中で知識も追ったので飽きも無かった(ようやく楽しみ方がわかってきた頃に、旅は終わるものだ)。

しかし、さすがに眠い

パン炭酸切符を買っては、改めて謎のフリークエンシーに驚きつつ、すぐの新幹線に乗り込む。

眠気に耐えつつここまでの日記を打ち直して、暗闇でもあるので目を閉じる。

静岡通過から寝て、小田原で案内放送が入っては、パンフで名古屋城のことを復習。

そしてここで、こうやって毎回、旅日記文字データに起こしているのだから増田に投げて反応もらいたいなと思い

占いにも「自分の得意分野を活かして、他の人にはできない価値を人に提供することで、大きな満足感が得られるでしょう」とあったのだ)、

昨日書いた分から個人情報を消したバージョンを作り、地下鉄内で調整を加え、最寄り駅に着いては送信

20時すぎにはアパートに到着。

少ない荷物をばらし、増田さら修正してると目もさえてくる。

寝るのは23時半頃になってしまう。

2025-02-27

anond:20250220222035

おいおい

突っ込ませるのは津久井御殿とその主人にしとけよ

2025-02-26

anond:20250225170855

富裕層だったら地方東京どこ住んでも幸福度高そうだなぁ

富裕層そもそも中流階級貧困層とは生活感覚違う。あらゆる生活の悩みを金で解決する。

地方にひろーい御殿たてて生活してる富裕層たくさんいる

富裕層地方に住んでてもしょっちゅう豪華な旅行行けるからあんまり自分が住んでる土地デメリット感じなさそうです

2025-01-22

『西園寺さんと山田くん』という少女漫画がある

ガッキー星野源結婚したきっかである逃げ恥』の著者の初期作である

主人公の西園寺さんはごく庶民的高校生である

一方、山田くんは見た目は特にイケメンでもない普通少年のようだが地方大手企業御曹司である

入学時に校舎を一棟寄付しておりその校舎は「山田御殿」と呼ばれており、山田くん校長よりも知名度ある存在

しかし見た目は普通だし成績も性格普通なので「あ、金持ちの人だ」と思われてる程度で別に特にモテてもいない

そんな山田くんが、特になんの接点もなかった西園寺さんに突然結婚を前提にした告白をする

山田くん親族経済的には成功しているが、苗字山田でパッとしないことにコンプレックスがあった

将来の後継ぎである山田くんがかっこいい苗字の人と結婚してその姓に改め、山田グループをまるっとかっこいいグループ名にしようと家族で夢見ていた

西園寺さんはそのかっこいい苗字だけで山田くんロックオンされたのである

苗字だけで交際を申し込むのはいかがなものかと言う西園寺さんに「容姿性格劣化するけど名前は何十年たっても維持できるんだよ」と山田くんは力説する

とりあえず山田くんは1000円超えのランチでも奢ってくれて庶民高校生の懐に優しいので、西園寺さんは結婚をチラつかせながら山田くん毎日奢らせる道を選んだ

山田くん金持ちだが性格容姿普通ときめけるところがなかった

そのうち他に好きな男ができるかもしれないので山田くんATM扱いに留め、上手いこと逃げられるようにかっこいい苗字女性を見つけてはさりげなく山田くんと引き合わせいつでも撤退できるように目論んだ

容姿性格劣化するが名前は維持できる」という山田くんの主張は当時いわゆる「ハッとする」というやつになった

なんなら、かっこいい苗字目当てに結婚して性格がクソで離婚したとしても、離婚後も旧姓に戻さずかっこいい苗字を維持することさえできるんだしな

容姿より性格より、とにかく苗字のかっこよさだ

かっこいい苗字の奴と結婚してそいつの姓になりたい

2024-12-27

anond:20241227155849

5000兆円あったら絶世の美女100人結婚して子供1000人産んで増田御殿作って乳母1000人家政婦1000人庭師100人執事1000人出入り業者100社態勢で回せば余裕なので

やっぱり金の問題しかないと思う

2024-12-20

anond:20241220015400

カラスミ御殿は暇空の初めての恋人である谷直史さんが何度も泊まりに来てくれた思い出の場所から引っ越せないんだよ

2024-10-23

anond:20241022014213

前になかよしについて書いてみたか宣伝するで

https://anond.hatelabo.jp/20241015203914

少女コミックなら「ふしぎ遊戯」「快感フレーズ」も外せないな

ふしぎ遊戯(1992-1996)はシリーズが今も続いていて作者のライフワークみたいになってる

シリーズ累計で2千万部売れている

少年向けではない、女のための美少年カタログのようにわらわら出てくる作品は当時珍しく、アニメ誌の表紙をよく飾り人気投票でもキャラが上位に食い込んだ

作者は元は少年漫画志望であり、能力バトルやお色気の多さ、主人公肉感的で可愛いため男性人気も高かった

個性豊かな美少年たちが戦いの中で凄惨に死んでいき、死ぬたびにキャラソンが流される謎演出アニメにはあった

中国異世界に迷い込んで冒険という題材は、学園ラブコメの多かった中でかなりチャレンジした内容であり、

作者は保険として前作『思春期未満お断り』のキャラデザを流用しまくり「異世界なんてとっつきにくいかもしれないけど、馴染のある顔がいれば…」と前作からファンを引き寄せる工夫をしていた

結果的には思春期~を知る者はそんなにいないがふしぎ遊戯を知る者はわりと多いというヒット作となった

快感フレーズ(1997-2000)は、ある意味では少女漫画地位を貶めた戦犯でもある

ふしぎ遊戯などで「ちょいエロ」が少女の心を鷲掴みしたことから快感フレーズは一歩進んで「めちゃくちゃエロい路線だった

昨今の全年齢誌エロ漫画と比べると可愛らしいものだが、当時は「少女漫画でこんなことするなんて!」と激しい衝撃をもたらし賛否両論を巻き起こした

作者によれば編集に求められ嫌々描いたエロ描写であったが、少女漫画ちょっと乳首を描きまくっただけで爆売れし千万部超えというのは語り草となり、

美人カメラ映えする作者がバラエティ番組に呼ばれることも何度かあり、売上で豪邸を買い「乳首御殿」と名付けた武勇伝がある

この作品がヒットした影響か、一時期の小学館少女漫画エロエロ薄っぺらゴミエロ漫画まみれになった

2000年代前半、まだ「表現の自由戦士」と呼ばれる存在がいなかったころ、「女向けばっかエロが緩くてズルい」と怒った男性オタクたちが「エロ少女漫画規制しろ」と抗議署名集団で送りつける運動へ発展した

エロエロ少女漫画は消えていき、かつて少女コミックエロエロだった人が今では清純派を描いていたり、あるいはエロエロ路線にこだわってTLの世界に渡ったりした

作中に登場するロックバンド現実で結成させてみたり、アニメ版はエロ皆無な健全内容で4クールやったり、ガラケーソシャゲもでたり、メディア展開も華やかだった

2024-10-03

腐とは、なんぞや

正確に知ってる?

 

俺は知ってる。

そろそろ半世紀になるいにしえのオタクから

 

そもそも腐は少年漫画等で“ありもしない”男同士の組み合わせを見出だす人(=同人者)が自虐で使ってただけで“BL愛好家”を指す言葉ではなかった。

 

主に、同人をわかってなくて、ギークに変な憧れのあるライトオタク層がでたらめに使いだして、“広義”でBL愛好家の意味になってしまった。

アングラから秘密裏に広まって、誤って広まってる、と気づいたときにはどうしようもなかった。

腐はBLではなく本来“ありもしない”内容を見出だすことや原作にはない“妄想”にかかっているのであって、男性同性愛卑下するものではない。

 

なんなら、腐の人たちはリアル同性愛も大喜びするし、大好きだからね。

特に美形同士なら「もっとやれ!」て野次が飛んでくる勢い。

玩具にしてるわけでなく、ただ“好き”なだけだから

嗜好性癖から理由やら何やら聞かれてもわからないし、生まれつきとしか言いようがない。

同性愛者が同性を愛するようにとは違うかもしれないけど、腐は男性同性愛を愛するものなのよ。

なのに、腐という言葉男性同性愛卑下してる、なんて言われると困っちゃう

卑下されたと思ってる同性愛者いたらごめんな、の気持ち

 

また、腐を自虐で使うようになった時代背景もありまして。

半世紀程前は、漫画好きアニメ好きを名乗るだけで学校いじめ倒されてきた(ましてや同人誌なんてとても言えない)時代を考えると、一種処世術でもある。

当時、同人誌とはアングラであり、腐はアングラ者同士を見分ける暗号だったのだ。

当然である

なんたって同人誌は海賊本。

原作者が『止めろ』と言えば、即消えないといけない存在

そして、税金も払ってない(たぶん)。※1

よって、作者に著作権使用料等は一切入っていかない。

他人ふんどし(原作)で相撲を取る、とんでもない所行なわけです。

 

※1:この辺は、バブル当時の同人御殿を建てたなんて噂を参照にしてるだけで、事実かは知らない。

 

そんな海賊本で何してるかと言えば、自分性癖を開示して仲間内で楽しんでいたのである

 

同人誌は、言うなれば下着”みたいなもの

 

あなた、どういう下着がお好き?(小声)」

「あたくし、こういう下着が好きですの(小声)」

「あら、良いわね。私も好きですわ(小声)」

「そうでしょう。オススメでしてよ(小声)」

こういうことなの。

 

パンツ見せても良いくらい極めて親しいか、裏のルールを知ってる人にしか見せないものなの。

元が他人ふんどしからね。

他人下着をおおっぴらに出して見ないでしょ。

いくら素敵にデコってあっても。

最初に腐という言葉を使いだした人なんて、めっちゃ居たたまれないと思うよ。

 

それをさ、人の下着晒しあげて、差別的だの何だのって言われても困っちゃうんだよな。

だって下着もの

人に見せない前提のものを、白日の元に晒されて「このパンツうんこついてるじゃん」て言われるの本当にキッツいよ。

 

非難すべきは、腐という言葉濫用濫用してる者であって、腐という言葉のものではない、と思う。

 

とはいえ、昔と違ってギークが隠れずに良くなり、クリエイターの1つとして人権尊重されるようになったのは喜ばしい変化。

からと言って、誇るとかはできない。

だって他人ふんどしから

他人ふんどしで誇るのは、盗作行為同義じゃん。

同人者として、それだけは超えてはいけない。

 

でも、自虐を止めろ、と強制するのはそれこそ人権侵害ではないのかい

自虐は本人が勝手にするものであって、強制されてしてるわけではないし、それを止めろというのも変な話だと思う。

あくまで、マナー範囲ならわかるけど。

そもそも同人=腐は下着同様なので、公に下着を出す時点でNGとは思う。

から、腐を使うな!ではなく、腐は公の場には相応しくない言葉、で手を打ってくれまいか

 

ましてや、言葉ルーツや成り立ち、本来用途無視して、現行の用途だけで差別用語だと騒ぐのは、正直なところ“こじつけ”にすら感じるよ。

そこまで、腐という言葉を目の敵にする前に、もっといろいろあるよね?

 

すでに腐という言葉本来用途を離れて濫用されている現在、こういう警鐘を鳴らす人も必要かとは思う。

警鐘と同時に、本来の成り立ちや用途時代背景なんかも付記しておいてくれると、我々いにしえのオタクとして隠れて生きてきた者も安心して賛同できる。

 

https://x.com/gupaooooon/status/1841599306299744449?t=j85G2g2NHelIuFcBJ_R5rw&s=19

 

あ、レスバとか喧嘩したいわけでなく、ただの個人提案なので、ダメならダメで違う人間だししゃーないよな、の話です。

2024-10-01

与次郎用事というのはこうである。――今夜の会自分たちの科の不振の事をしきりに慨嘆するから三四郎もいっしょに慨嘆しなくってはいけないんだそうだ。不振事実であるからほかの者も慨嘆するにきまっている。それから、おおぜいいっしょに挽回策を講ずることとなる。なにしろ適当日本人を一人大学に入れるのが急務だと言い出す。みんなが賛成する。当然だから賛成するのはむろんだ。次にだれがよかろうという相談に移る。その時広田先生の名を持ち出す。その時三四郎与次郎に口を添えて極力先生賞賛しろという話である。そうしないと、与次郎広田食客だということを知っている者が疑いを起こさないともかぎらない。自分は現に食客なんだから、どう思われてもかまわないが、万一煩い広田先生に及ぶようではすまんことになる。もっともほかに同志が三、四人はいから大丈夫だが、一人でも味方は多いほうが便利だから三四郎もなるべくしゃべるにしくはないとの意見である。さていよいよ衆議一決の暁は、総代を選んで学長の所へ行く、また総長の所へ行く。もっとも今夜中にそこまでは運ばないかもしれない。また運ぶ必要もない。そのへんは臨機応変である。……  与次郎はすこぶる能弁である。惜しいことにその能弁がつるつるしているので重みがない。あるところへゆくと冗談をまじめに講義しているかと疑われる。けれども本来性質のいい運動から三四郎もだいたいのうえにおいて賛成の意を表した。ただその方法が少しく細工に落ちておもしろくないと言った。その時与次郎は往来のまん中へ立ち留まった。二人はちょうど森川町神社鳥居の前にいる。 「細工に落ちるというが、ぼくのやる事は自然の手順が狂わないようにあらかじめ人力で装置するだけだ。自然にそむいた没分暁の事を企てるのとは質が違う。細工だってかまわん。細工が悪いのではない。悪い細工が悪いのだ」  三四郎はぐうの音も出なかった。なんだか文句があるようだけれども、口へ出てこない。与次郎の言いぐさのうちで、自分がまだ考えていなかった部分だけがはっきり頭へ映っている。三四郎はむしろそのほうに感服した。 「それもそうだ」とすこぶる曖昧な返事をして、また肩を並べて歩きだした。正門をはいると、急に目の前が広くなる。大きな建物が所々に黒く立っている。その屋根がはっきり尽きる所から明らかな空になる。星がおびただしく多い。 「美しい空だ」と三四郎が言った。与次郎も空を見ながら、一間ばかり歩いた。突然、 「おい、君」と三四郎を呼んだ。三四郎はまたさっきの話の続きかと思って「なんだ」と答えた。 「君、こういう空を見てどんな感じを起こす」  与次郎に似合わぬことを言った。無限とか永久かいう持ち合わせの答はいくらでもあるが、そんなことを言うと与次郎に笑われると思って三四郎は黙っていた。 「つまらんなあ我々は。あしたから、こんな運動をするのはもうやめにしようかしら。偉大なる暗闇を書いてもなんの役にも立ちそうにもない」 「なぜ急にそんな事を言いだしたのか」 「この空を見ると、そういう考えになる。――君、女にほれたことがあるか」  三四郎は即答ができなかった。 「女は恐ろしいものだよ」と与次郎が言った。 「恐ろしいものだ、ぼくも知っている」と三四郎も言った。すると与次郎が大きな声で笑いだした。静かな夜の中でたいへん高く聞こえる。 「知りもしないくせに。知りもしないくせに」  三四郎憮然としていた。 「あすもよい天気だ。運動会はしあわせだ。きれいな女がたくさん来る。ぜひ見にくるがいい」  暗い中を二人は学生集会所の前まで来た。中には電燈が輝いている。  木造廊下を回って、部屋へはいると、そうそう来た者は、もうかたまっている。そのかたまりが大きいのと小さいのと合わせて三つほどある。なかには無言で備え付けの雑誌新聞を見ながら、わざと列を離れているのもある。話は方々に聞こえる。話の数はかたまりの数より多いように思われる。しかしわあいにおちついて静かである煙草の煙のほうが猛烈に立ち上る。  そのうちだんだん寄って来る。黒い影が闇の中から吹きさらしの廊下の上へ、ぽつりと現われると、それが一人一人に明るくなって、部屋の中へはいって来る。時には五、六人続けて、明るくなることもある。が、やがて人数はほぼそろった。  与次郎は、さっきから煙草の煙の中を、しきりにあちこちと往来していた。行く所で何か小声に話している。三四郎は、そろそろ運動を始めたなと思ってながめていた。  しばらくすると幹事が大きな声で、みんなに席へ着けと言う。食卓はむろん前から用意ができていた。みんな、ごたごたに席へ着いた。順序もなにもない。食事は始まった。  三四郎熊本赤酒ばかり飲んでいた。赤酒というのは、所でできる下等な酒である熊本学生はみんな赤酒を飲む。それが当然と心得ている。たまたま飲食店へ上がれば牛肉である。その牛肉屋の牛が馬肉かもしれないという嫌疑がある。学生は皿に盛った肉を手づかみにして、座敷の壁へたたきつける。落ちれば牛肉で、ひっつけば馬肉だという。まるで呪みたような事をしていた。その三四郎にとって、こういう紳士的な学生親睦会は珍しい。喜んでナイフフォークを動かしていた。そのあいだにはビールをさかんに飲んだ。 「学生集会所の料理はまずいですね」と三四郎に隣にすわった男が話しかけた。この男は頭を坊主に刈って、金縁の眼鏡をかけたおとなしい学生であった。 「そうですな」と三四郎は生返事をした。相手与次郎なら、ぼくのようないなか者には非常にうまいと正直なところをいうはずであったが、その正直がかえって皮肉に聞こえると悪いと思ってやめにした。するとその男が、 「君はどこの高等学校ですか」と聞きだした。 「熊本です」 「熊本ですか。熊本にはぼくの従弟もいたが、ずいぶんひどい所だそうですね」 「野蛮な所です」  二人が話していると、向こうの方で、急に高い声がしだした。見ると与次郎が隣席の二、三人を相手に、しきりに何か弁じている。時々ダーターファブラと言う。なんの事だかわからない。しか与次郎相手は、この言葉を聞くたびに笑いだす。与次郎ますます得意になって、ダーターファブラ我々新時代青年は……とやっている。三四郎の筋向こうにすわっていた色の白い品のいい学生が、しばらくナイフの手を休めて、与次郎の連中をながめていたが、やがて笑いながら Il a le diable au corps(悪魔が乗り移っている)と冗談半分にフランス語を使った。向こうの連中にはまったく聞こえなかったとみえて、この時ビールのコップが四つばかり一度に高く上がった。得意そうに祝盃をあげている。 「あの人はたいへんにぎやかな人ですね」と三四郎の隣の金縁眼鏡をかけた学生が言った。 「ええ。よくしゃべります」 「ぼくはいつか、あの人に淀見軒でライスカレーをごちそうになった。まるで知らないのに、突然来て、君淀見軒へ行こうって、とうとう引っ張っていって……」  学生ハハハと笑った。三四郎は、淀見軒で与次郎からライスカレーをごちそうになったもの自分ばかりではないんだなと悟った。  やがてコーヒーが出る。一人が椅子を離れて立った。与次郎が激しく手をたたくと、ほかの者もたちまち調子を合わせた。  立った者は、新しい黒の制服を着て、鼻の下にもう髭をはやしている。背がすこぶる高い。立つには恰好のよい男である演説いたことを始めた。  我々が今夜ここへ寄って、懇親のために、一夕の歓をつくすのは、それ自身において愉快な事であるが、この懇親が単に社交上の意味ばかりでなく、それ以外に一種重要な影響を生じうると偶然ながら気がついたら自分は立ちたくなった。この会合ビールに始まってコーヒーに終っている。まったく普通会合であるしかしこのビールを飲んでコーヒーを飲んだ四十人近くの人間普通人間ではない。しかもそのビールを飲み始めてからコーヒーを飲み終るまでのあいだに、すでに自己運命の膨脹を自覚しえた。  政治自由を説いたのは昔の事である言論の自由を説いたのも過去の事である自由とは単にこれらの表面にあらわれやす事実のために専有されべき言葉ではない。我ら新時代青年は偉大なる心の自由を説かねばならぬ時運に際会したと信ずる。  我々は古き日本の圧迫に堪ええぬ青年である。同時に新しき西洋の圧迫にも堪ええぬ青年であるということを、世間に発表せねばいられぬ状況のもとに生きている。新しき西洋の圧迫は社会の上においても文芸の上においても、我ら新時代青年にとっては古き日本の圧迫と同じく、苦痛である。  我々は西洋文芸研究する者であるしか研究はどこまでも研究である。その文芸のもとに屈従するのとは根本的に相違がある。我々は西洋文芸にとらわれんがために、これを研究するのではない。とらわれたる心を解脱せしめんがために、これを研究しているのである。この方便に合せざる文芸はいかなる威圧のもとにしいらるるとも学ぶ事をあえてせざるの自信と決心とを有している。  我々はこの自信と決心とを有するの点において普通人間とは異なっている。文芸技術でもない、事務でもない。より多く人生根本義に触れた社会原動力である。我々はこの意味において文芸研究し、この意味において如上の自信と決心とを有し、この意味において今夕の会合一般以上の重大なる影響を想見するのである。  社会は激しく動きつつある。社会産物たる文芸もまた動きつつある。動く勢いに乗じて、我々の理想どおりに文芸を導くためには、零細なる個人を団結して、自己運命を充実し発展し膨脹しなくてはならぬ。今夕のビールコーヒーは、かかる隠れたる目的を、一歩前に進めた点において、普通ビールコーヒーよりも百倍以上の価ある尊きビールコーヒーである。  演説意味ざっとこんなものである演説が済んだ時、席にあった学生はことごとく喝采した。三四郎もっとも熱心なる喝采者の一人であった。すると与次郎が突然立った。 「ダーターファブラ、シェクスピヤの使った字数が何万字だの、イブセンの白髪の数が何千本だのと言ってたってしかたがない。もっともそんなばかげた講義を聞いたってとらわれる気づかいはないか大丈夫だが、大学に気の毒でいけない。どうしても新時代青年を満足させるような人間を引っ張って来なくっちゃ。西洋人じゃだめだ。第一幅がきかない。……」  満堂はまたことごとく喝采した。そうしてことごとく笑った。与次郎の隣にいた者が、 「ダーターファブラのために祝盃をあげよう」と言いだした。さっき演説をした学生がすぐに賛成した。あいにくビールがみな空である。よろしいと言って与次郎はすぐ台所の方へかけて行った。給仕が酒を持って出る。祝盃をあげるやいなや、 「もう一つ。今度は偉大なる暗闇のために」と言った者がある。与次郎の周囲にいた者は声を合して、アハハと笑った。与次郎は頭をかいている。  散会の時刻が来て、若い男がみな暗い夜の中に散った時に、三四郎与次郎に聞いた。 「ダーターファブラとはなんの事だ」 「ギリシア語だ」  与次郎はそれよりほかに答えなかった。三四郎もそれよりほかに聞かなかった。二人は美しい空をいただいて家に帰った。  あくる日は予想のごとく好天気である。今年は例年より気候がずっとゆるんでいる。ことさらきょうは暖かい三四郎は朝のうち湯に行った。閑人の少ない世の中だから、午前はすこぶるすいている。三四郎は板の間にかけてある三越呉服店看板を見た。きれいな女がかいてある。その女の顔がどこか美禰子に似ている。よく見ると目つきが違っている。歯並がわからない。美禰子の顔でもっと三四郎を驚かしたものは目つきと歯並である与次郎の説によると、あの女は反っ歯の気味だから、ああしじゅう歯が出るんだそうだが、三四郎にはけっしてそうは思えない。……  三四郎は湯につかってこんな事を考えていたので、からだのほうはあまりわずに出た。ゆうべから急に新時代青年という自覚が強くなったけれども、強いのは自覚だけで、からだのほうはもとのままである休みになるとほかの者よりずっと楽にしている。きょうは昼から大学陸上運動会を見に行く気である。  三四郎は元来あまり運動好きではない。国にいるとき兎狩りを二、三度したことがある。それから高等学校の端艇競漕の時に旗振りの役を勤めたことがある。その時青と赤と間違えて振ってたいへん苦情が出た。もっとも決勝の鉄砲を打つ係りの教授鉄砲を打ちそくなった。打つには打ったが音がしなかった。これが三四郎のあわてた原因である。それより以来三四郎運動会へ近づかなかった。しかしきょうは上京以来はじめての競技会だから、ぜひ行ってみるつもりである与次郎もぜひ行ってみろと勧めた。与次郎の言うところによると競技より女のほうが見にゆ価値があるのだそうだ。女のうちには野々宮さんの妹がいるだろう。野々宮さんの妹といっしょに美禰子もいるだろう。そこへ行って、こんちわとかなんとか挨拶をしてみたい。  昼過ぎになったから出かけた。会場の入口運動場の南のすみにある。大きな日の丸イギリス国旗が交差してある。日の丸は合点がいくが、イギリス国旗はなんのためだかからない。三四郎日英同盟のせいかとも考えた。けれども日英同盟大学陸上運動会とは、どういう関係があるか、とんと見当がつかなかった。  運動場は長方形の芝生である。秋が深いので芝の色がだいぶさめている。競技を見る所は西側にある。後に大きな築山をいっぱいに控えて、前は運動場の柵で仕切られた中へ、みんなを追い込むしかけになっている。狭いわりに見物人が多いのではなはだ窮屈である。さいわい日和がよいので寒くはない。しか外套を着ている者がだいぶある。その代り傘をさして来た女もある。  三四郎失望したのは婦人席が別になっていて、普通人間には近寄れないことであった。それからフロックコートや何か着た偉そうな男がたくさん集って、自分が存外幅のきかないようにみえたことであった。新時代青年をもってみずからおる三四郎は少し小さくなっていた。それでも人と人との間から婦人席の方を見渡すことは忘れなかった。横からからよく見えないが、ここはさすがにきれいである。ことごとく着飾っている。そのうえ遠距離から顔がみんな美しい。その代りだれが目立って美しいということもない。ただ総体総体として美しい。女が男を征服する色である。甲の女が乙の女に打ち勝つ色ではなかった。そこで三四郎はまた失望した。しかし注意したら、どこかにいるだろうと思って、よく見渡すと、はたして前列のいちばん柵に近い所に二人並んでいた。  三四郎は目のつけ所がようやくわかったので、まず一段落告げたような気で、安心していると、たちまち五、六人の男が目の前に飛んで出た。二百メートルの競走が済んだのである決勝点は美禰子とよし子がすわっている真正面で、しかも鼻の先だから、二人を見つめていた三四郎視線のうちにはぜひともこれらの壮漢がはいってくる。五、六人はやがて一二、三人にふえた。みんな呼吸をはずませているようにみえる。三四郎はこれらの学生の態度と自分の態度とを比べてみて、その相違に驚いた。どうして、ああ無分別にかける気になれたものだろうと思った。しか婦人連はことごとく熱心に見ている。そのうちでも美禰子とよし子はもっとも熱心らしい。三四郎自分無分別にかけてみたくなった。一番に到着した者が、紫の猿股をはい婦人席の方を向いて立っている。よく見ると昨夜の親睦会で演説をした学生に似ている。ああ背が高くては一番になるはずである。計測係りが黒板に二十五秒七四と書いた。書き終って、余りの白墨を向こうへなげて、こっちを向いたところを見ると野々宮さんであった。野々宮さんはいつになくまっ黒なフロックを着て、胸に係り員の徽章をつけて、だいぶ人品がいい。ハンケチを出して、洋服の袖を二、三度はたいたが、やがて黒板を離れて、芝生の上を横切って来た。ちょうど美禰子とよし子のすわっているまん前の所へ出た。低い柵の向こう側から首を婦人席の中へ延ばして、何か言っている。美禰子は立った。野々宮さんの所まで歩いてゆく。柵の向こうとこちらで話を始めたように見える。美禰子は急に振り返った。うれしそうな笑いにみちた顔である三四郎は遠くから一生懸命に二人を見守っていた。すると、よし子が立った。また柵のそばへ寄って行く。二人が三人になった。芝生の中では砲丸投げが始まった。

砲丸投げほど力のいるものはなかろう。力のいるわりにこれほどおもしろくないものもたんとない。ただ文字どおり砲丸を投げるのである。芸でもなんでもない。野々宮さんは柵の所で、ちょっとこの様子を見て笑っていた。けれども見物のじゃまになると悪いと思ったのであろう。柵を離れて芝生の中へ引き取った。二人の女も、もとの席へ復した。砲丸は時々投げられている。第一どのくらい遠くまでゆくんだか、ほとんど三四郎にはわからない。三四郎はばかばかしくなった。それでも我慢して立っていた。ようやくのことで片がついたとみえて、野々宮さんはまた黒板へ十一メートル三八と書いた。

 それからまた競走があって、長飛びがあって、その次には槌投げが始まった。三四郎はこの槌投げにいたって、とうとう辛抱がしきれなくなった。運動会めいめいかってに開くべきものである。人に見せべきものではない。あんものを熱心に見物する女はことごとく間違っているとまで思い込んで、会場を抜け出して、裏の築山の所まで来た。幕が張ってあって通れない。引き返して砂利の敷いてある所を少し来ると、会場から逃げた人がちらほら歩いている。盛装した婦人も見える。三四郎はまた右へ折れて、爪先上りを丘のてっぺんまで来た。道はてっぺんで尽きている。大きな石がある。三四郎はその上へ腰をかけて、高い崖の下にある池をながめた。下の運動会場でわあというおおぜいの声がする。

 三四郎はおよそ五分ばかり石へ腰をかけたままぼんやりしていた。やがてまた動く気になったので腰を上げて、立ちながら靴の踵を向け直すと、丘の上りぎわの、薄く色づいた紅葉の間に、さっきの女の影が見えた。並んで丘の裾を通る。

 三四郎は上から、二人を見おろしていた。二人は枝の隙から明らかな日向へ出て来た。黙っていると、前を通り抜けてしまう。三四郎は声をかけようかと考えた。距離があまり遠すぎる。急いで二、三歩芝の上を裾の方へ降りた。降り出すといいぐあいに女の一人がこっちを向いてくれた。三四郎はそれでとまった。じつはこちからまりごきげんをとりたくない。運動会が少し癪にさわっている。

あんな所に……」とよし子が言いだした。驚いて笑っている。この女はどんな陳腐ものを見ても珍しそうな目つきをするように思われる。その代り、いかな珍しいもの出会っても、やはり待ち受けていたような目つきで迎えるかと想像される。だからこの女に会うと重苦しいところが少しもなくって、しかもおちついた感じが起こる。三四郎は立ったまま、これはまったく、この大きな、常にぬれている、黒い眸のおかげだと考えた。

 美禰子も留まった。三四郎を見た。しかしその目はこの時にかぎって何物をも訴えていなかった。まるで高い木をながめるような目であった。三四郎は心のうちで、火の消えたランプを見る心持ちがした。もとの所に立ちすくんでいる。美禰子も動かない。

「なぜ競技を御覧にならないの」とよし子が下から聞いた。

「今まで見ていたんですが、つまらいからやめて来たのです」

 よし子は美禰子を顧みた。美禰子はやはり顔色を動かさない。三四郎は、

「それより、あなたたこそなぜ出て来たんです。たいへん熱心に見ていたじゃありませんか」と当てたような当てないようなことを大きな声で言った。美禰子はこの時はじめて、少し笑った。三四郎にはその笑いの意味がよくわからない。二歩ばかり女の方に近づいた。

「もう宅へ帰るんですか」

 女は二人とも答えなかった。三四郎はまた二歩ばかり女の方へ近づいた。

「どこかへ行くんですか」

「ええ、ちょっと」と美禰子が小さな声で言う。よく聞こえない。三四郎はとうとう女の前まで降りて来た。しかしどこへ行くとも追窮もしないで立っている。会場の方で喝采の声が聞こえる。

高飛びよ」とよし子が言う。「今度は何メートルになったでしょう」

 美禰子は軽く笑ったばかりである三四郎も黙っている。三四郎高飛びに口を出すのをいさぎよしとしないつもりである。すると美禰子が聞いた。

「この上には何かおもしろものがあって?」

 この上には石があって、崖があるばかりであるおもしろものがありようはずがない。

「なんにもないです」

「そう」と疑いを残したように言った。

「ちょいと上がってみましょうか」よし子が、快く言う。

あなた、まだここを御存じないの」と相手の女はおちついて出た。

「いいからいらっしゃいよ」

 よし子は先へ上る。二人はまたついて行った。よし子は足を芝生のはしまで出して、振り向きながら、

「絶壁ね」と大げさな言葉を使った。「サッフォーでも飛び込みそうな所じゃありませんか」

 美禰子と三四郎は声を出して笑った。そのくせ三四郎はサッフォーがどんな所から飛び込んだかよくわからなかった。

あなたも飛び込んでごらんなさい」と美禰子が言う。

「私? 飛び込みましょうか。でもあんまり水がきたないわね」と言いながら、こっちへ帰って来た。

 やがて女二人のあいだに用談が始まった。

あなた、いらしって」と美禰子が言う。

「ええ。あなたは」とよし子が言う。

「どうしましょう」

「どうでも。なんならわたしちょっと行ってくるから、ここに待っていらっしゃい」

「そうね」

 なかなか片づかない。三四郎が聞いてみると、よし子が病院看護婦のところへ、ついでだからちょっと礼に行ってくるんだと言う。美禰子はこの夏自分の親戚が入院していた時近づきになった看護婦を尋ねれば尋ねるのだが、これは必要でもなんでもないのだそうだ。

 よし子は、すなおに気の軽い女だからしまいに、すぐ帰って来ますと言い捨てて、早足に一人丘を降りて行った。止めるほどの必要もなし、いっしょに行くほどの事件でもないので、二人はしぜん後にのこるわけになった。二人の消極な態度からいえば、のこるというより、のこされたかたちにもなる。

 三四郎はまた石に腰をかけた。女は立っている。秋の日は鏡のように濁った池の上に落ちた。中に小さな島がある。島にはただ二本の木がはえている。青い松と薄い紅葉がぐあいよく枝をかわし合って、箱庭の趣がある。島を越して向こう側の突き当りがこんもりとどす黒く光っている。女は丘の上からその暗い木陰を指さした。

「あの木を知っていらしって」と言う。

「あれは椎」

 女は笑い出した。

「よく覚えていらっしゃること」

「あの時の看護婦ですか、あなたが今尋ねようと言ったのは」

「ええ」

「よし子さんの看護婦とは違うんですか」

「違います。これは椎――といった看護婦です」

 今度は三四郎が笑い出した。

「あすこですね。あなたがあの看護婦といっしょに団扇を持って立っていたのは」

 二人のいる所は高く池の中に突き出している。この丘とはまるで縁のない小山が一段低く、右側を走っている。大きな松と御殿一角と、運動会の幕の一部と、なだらかな芝生が見える。

「熱い日でしたね。病院あんまり暑いものから、とうとうこらえきれないで出てきたの。――あなたはまたなんであんな所にしゃがんでいらしったんです」

「熱いからです。あの日ははじめて野々宮さんに会って、それから、あすこへ来てぼんやりしていたのです。なんだか心細くなって」

「野々宮さんにお会いになってから、心細くおなりになったの」

「いいえ、そういうわけじゃない」と言いかけて、美禰子の顔を見たが、急に話頭を転じた。

「野々宮さんといえば、きょうはたいへん働いていますね」

「ええ、珍しくフロックコートをお着になって――ずいぶん御迷惑でしょう。朝から晩までですから

だってだいぶ得意のようじゃありませんか」

「だれが、野々宮さんが。――あなたもずいぶんね」

「なぜですか」

だってまさか運動会の計測係りになって得意になるようなかたでもないでしょう」

 三四郎はまた話頭を転じた。

「さっきあなたの所へ来て何か話していましたね」

「会場で?」

「ええ、運動会の柵の所で」と言ったが、三四郎はこの問を急に撤回したくなった。女は「ええ」と言ったまま男の顔をじっと見ている。少し下唇をそらして笑いかけている。三四郎はたまらなくなった。何か言ってまぎらそうとした時に、女は口を開いた。

あなたはまだこのあいだの絵はがきの返事をくださらないのね」

 三四郎はまごつきながら「あげます」と答えた。女はくれともなんとも言わない。

あなた原口さんという画工を御存じ?」と聞き直した。

「知りません」

「そう」

「どうかしましたか

「なに、その原口さんが、きょう見に来ていらしってね、みんなを写生しているから、私たちも用心しないと、ポンチにかかれるからって、野々宮さんがわざわざ注意してくだすったんです」

 美禰子はそばへ来て腰をかけた。三四郎自分いかにも愚物のような気がした。

「よし子さんはにいさんといっしょに帰らないんですか」

「いっしょに帰ろうったって帰れないわ。よし子さんは、きのうから私の家にいるんですもの

 三四郎はその時はじめて美禰子から野々宮のおっかさんが国へ帰ったということを聞いた。おっかさんが帰ると同時に、大久保を引き払って、野々宮さんは下宿をする、よし子は当分美禰子の家から学校へ通うことに、相談がきまったんだそうである

 三四郎はむしろ野々宮さんの気楽なのに驚いた。そうたやす下宿生活にもどるくらいなら、はじめから家を持たないほうがよかろう。第一鍋、釜、手桶などという世帯道具の始末はどうつけたろうと、よけいなことまで考えたが、口に出して言うほどのことでもないから、べつだんの批評は加えなかった。そのうえ、野々宮さんが一家の主人から、あともどりをして、ふたたび純書生と同様な生活状態に復するのは、とりもなおさず家族制から一歩遠のいたと同じことで、自分にとっては、目前の迷惑を少し長距離へ引き移したような好都合にもなる。その代りよし子が美禰子の家へ同居してしまった。この兄妹は絶えず往来していないと治まらないようにできあがっている。絶えず往来しているうちには野々宮さんと美禰子との関係も次第次第に移ってくる。すると野々宮さんがまたいつなんどき下宿生活永久にやめる時機がこないともかぎらない。

 三四郎は頭のなかに、こういう疑いある未来を、描きながら、美禰子と応対をしている。いっこうに気が乗らない。それを外部の態度だけでも普通のごとくつくろおうとすると苦痛になってくる。そこへうまいあいによし子が帰ってきてくれた。女同志のあいだには、もう一ぺん競技を見に行こうかという相談があったが、短くなりかけた秋の日がだいぶ回ったのと、回るにつれて、広い戸外の肌寒がようやく増してくるので、帰ることに話がきまる。

 三四郎も女連に別れて下宿へもどろうと思ったが、三人が話しながら、ずるずるべったりに歩き出したものから、きわだった挨拶をする機会がない。二人は自分を引っ張ってゆくようにみえる。自分もまた引っ張られてゆきたいような気がする。それで二人にくっついて池の端を図書館の横から、方角違いの赤門の方へ向いてきた。そのとき三四郎は、よし子に向かって、

「お兄いさんは下宿なすったそうですね」と聞いたら、よし子は、すぐ、

「ええ。とうとう。ひとを美禰子さんの所へ押しつけておいて。ひどいでしょう」と同意を求めるように言った。三四郎は何か返事をしようとした。そのまえに美禰子が口を開いた。

「宗八さんのようなかたは、我々の考えじゃわかりませんよ。ずっと高い所にいて、大きな事を考えていらっしゃるんだから」と大いに野々宮さんをほめだした。よし子は黙って聞いている。

 学問をする人がうるさい俗用を避けて、なるべく単純な生活にがまんするのは、みんな研究のためやむをえないんだからしかたがない。野々宮のような外国にまで聞こえるほどの仕事をする人が、普通学生同様な下宿はいっているのも必竟野々宮が偉いからのことで、下宿がきたなければきたないほど尊敬しなくってはならない。――美禰子の野々宮に対する賛辞のつづきは、ざっとこうである

 三四郎赤門の所で二人に別れた。追分の方へ足を向けながら考えだした。――なるほど美禰子の言ったとおりである自分と野々宮を比較してみるとだいぶ段が違う。自分田舎から出て大学はいったばかりである学問という学問もなければ、見識という見識もない。自分が、野々宮に対するほどな尊敬を美禰子から受けえないのは当然である。そういえばなんだか、あの女からかにされているようでもある。さっき、運動会はつまらいから、ここにいると、丘の上で答えた時に、美禰子はまじめな顔をして、この上には何かおもしろものがありますかと聞いた。あの時は気がつかなかったが、いま解釈してみると、故意自分を愚弄した言葉かもしれない。――三四郎は気がついて、きょうまで美禰子の自分に対する態度や言語を一々繰り返してみると、どれもこれもみんな悪い意味がつけられる。三四郎は往来のまん中でまっ赤になってうつむいた。ふと、顔を上げると向こうから与次郎とゆうべの会で演説をした学生が並んで来た。与次郎は首を縦に振ったぎり黙っている。学生帽子をとって礼をしながら、

「昨夜は。どうですか。とらわれちゃいけませんよ」と笑って行き過ぎた。

anond:20241001201601

2024-09-30

 ふと目を上げると、左手の丘の上に女が二人立っている。女のすぐ下が池で、向こう側が高い崖の木立で、その後がはでな赤煉瓦ゴシック風の建築である。そうして落ちかかった日が、すべての向こうから横に光をとおしてくる。女はこの夕日に向いて立っていた。三四郎のしゃがんでいる低い陰から見ると丘の上はたいへん明るい。女の一人はまぼしいとみえて、団扇を額のところにかざしている。顔はよくわからない。けれども着物の色、帯の色はあざやかにわかった。白い足袋の色も目についた。鼻緒の色はとにかく草履はいていることもわかった。もう一人はまっしろである。これは団扇もなにも持っていない。ただ額に少し皺を寄せて、向こう岸からいかぶさりそうに、高く池の面に枝を伸ばした古木の奥をながめていた。団扇を持った女は少し前へ出ている。白いほうは一足土堤の縁からさがっている。三四郎が見ると、二人の姿が筋かいに見える。  この時三四郎の受けた感じはただきれいな色彩だということであった。けれどもいなか者だから、この色彩がどういうふうにきれいなのだか、口にも言えず、筆にも書けない。ただ白いほうが看護婦だと思ったばかりである。  三四郎はまたみとれていた。すると白いほうが動きだした。用事のあるような動き方ではなかった。自分の足がいつのまにか動いたというふうであった。見ると団扇を持った女もいつのまにかまた動いている。二人は申し合わせたように用のない歩き方をして、坂を降りて来る。三四郎はやっぱり見ていた。  坂の下に石橋がある。渡らなければまっすぐに理科大学の方へ出る。渡れば水ぎわを伝ってこっちへ来る。二人は石橋を渡った。  団扇はもうかざしていない。左の手に白い小さな花を持って、それをかぎながら来る。かぎながら、鼻の下にあてがった花を見ながら、歩くので、目は伏せている。それで三四郎から一間ばかりの所へ来てひょいととまった。 「これはなんでしょう」と言って、仰向いた。頭の上には大きな椎の木が、日の目のもらないほど厚い葉を茂らして、丸い形に、水ぎわまで張り出していた。 「これは椎」と看護婦が言った。まるで子供に物を教えるようであった。 「そう。実はなっていないの」と言いながら、仰向いた顔をもとへもどす、その拍子に三四郎を一目見た。三四郎はたしかに女の黒目の動く刹那意識した。その時色彩の感じはことごとく消えて、なんともいえぬある物に出会った。そのある物は汽車の女に「あなたは度胸のないかたですね」と言われた時の感じとどこか似通っている。三四郎は恐ろしくなった。  二人の女は三四郎の前を通り過ぎる。若いほうが今までかいでいた白い花を三四郎の前へ落として行った。三四郎は二人の後姿をじっと見つめていた。看護婦は先へ行く。若いほうがあとから行く。はなやかな色のなかに、白い薄を染め抜いた帯が見える。頭にもまっ白な薔薇を一つさしている。その薔薇が椎の木陰の下の、黒い髪のなかできわだって光っていた。  三四郎ぼんやりしていた。やがて、小さな声で「矛盾だ」と言った。大学空気とあの女が矛盾なのだか、あの色彩とあの目つきが矛盾なのだか、あの女を見て汽車の女を思い出したのが矛盾なのだか、それとも未来に対する自分方針が二道に矛盾しているのか、または非常にうれしいものに対して恐れをいだくところが矛盾しているのか、――このいなか出の青年には、すべてわからなかった。ただなんだか矛盾であった。  三四郎は女の落として行った花を拾った。そうしてかいでみた。けれどもべつだんのにおいもなかった。三四郎はこの花を池の中へ投げ込んだ。花は浮いている。すると突然向こうで自分の名を呼んだ者がある。  三四郎は花から目を放した。見ると野々宮君が石橋の向こうに長く立っている。 「君まだいたんですか」と言う。三四郎は答をするまえに、立ってのそのそ歩いて行った。石橋の上まで来て、 「ええ」と言った。なんとなくまが抜けている。けれども野々宮君は、少しも驚かない。 「涼しいですか」と聞いた。三四郎はまた、 「ええ」と言った。  野々宮君はしばらく池の水をながめていたが、右の手をポケットへ入れて何か捜しだした。ポケットから半分封筒がはみ出している。その上に書いてある字が女の手跡らしい。野々宮君は思う物を捜しあてなかったとみえて、もとのとおりの手を出してぶらりと下げた。そうして、こう言った。 「きょうは少し装置が狂ったので晩の実験はやめだ。これから本郷の方を散歩して帰ろうと思うが、君どうです、いっしょに歩きませんか」  三四郎は快く応じた。二人で坂を上がって、丘の上へ出た。野々宮君はさっき女の立っていたあたりでちょっととまって、向こうの青い木立のあいから見える赤い建物と、崖の高いわりに、水の落ちた池をいちめんに見渡して、 「ちょっといい景色でしょう。あの建築の角度のところだけが少し出ている。木のあいから。ね。いいでしょう。君気がついていますか。あの建物はなかなかうまくできていますよ。工科もよくできてるがこのほうがうまいですね」  三四郎は野々宮君の鑑賞力に少々驚いた。実をいうと自分にはどっちがいいかまるでわからないのである。そこで今度は三四郎のほうが、はあ、はあと言い出した。 「それから、この木と水の感じがね。――たいしたものじゃないが、なにしろ東京のまん中にあるんだから――静かでしょう。こういう所でないと学問をやるにはいけませんね。近ごろは東京があまりかましくなりすぎて困る。これが御殿」と歩きだしながら、左手建物をさしてみせる。「教授会をやる所です。うむなに、ぼくなんか出ないでいいのです。ぼくは穴倉生活をやっていればすむのです。近ごろの学問は非常な勢いで動いているので、少しゆだんすると、すぐ取り残されてしまう。人が見ると穴倉の中で冗談をしているようだが、これでもやっている当人の頭の中は劇烈に働いているんですよ。電車よりよっぽど激しく働いているかもしれない。だから夏でも旅行をするのが惜しくってね」と言いながら仰向いて大きな空を見た。空にはもう日の光が乏しい。  青い空の静まり返った、上皮に白い薄雲が刷毛先でかき払ったあとのように、筋かいに長く浮いている。 「あれを知ってますか」と言う。三四郎は仰いで半透明の雲を見た。 「あれは、みんな雪の粉ですよ。こうやって下から見ると、ちっとも動いていない。しかしあれで地上に起こる颶風以上の速力で動いているんですよ。――君ラスキンを読みましたか」  三四郎憮然として読まないと答えた。野々宮君はただ 「そうですか」と言ったばかりである。しばらくしてから、 「この空を写生したらおもしろいですね。――原口にでも話してやろうかしら」と言った。三四郎はむろん原口という画工の名前を知らなかった。  二人はベルツの銅像の前から枳殻寺の横を電車の通りへ出た。銅像の前で、この銅像はどうですかと聞かれて三四郎はまた弱った。表はたいへんにぎやかである電車がしきりなしに通る。 「君電車はうるさくはないですか」とまた聞かれた。三四郎はうるさいよりすさまじいくらいである。しかしただ「ええ」と答えておいた。すると野々宮君は「ぼくもうるさい」と言った。しかしいっこううるさいようにもみえなかった。 「ぼくは車掌に教わらないと、一人で乗換えが自由にできない。この二、三年むやみにふえたのでね。便利になってかえって困る。ぼくの学問と同じことだ」と言って笑った。  学期の始まりぎわなので新しい高等学校帽子かぶった生徒がだいぶ通る。野々宮君は愉快そうに、この連中を見ている。 「だいぶ新しいのが来ましたね」と言う。「若い人は活気があっていい。ときに君はいくつですか」と聞いた。三四郎は宿帳へ書いたとおりを答えた。すると、 「それじゃぼくより七つばかり若い。七年もあると、人間はたいていの事ができる。しかし月日はたちやすものでね。七年ぐらいじきですよ」と言う。どっちが本当なんだか、三四郎にはわからなかった。  四角近くへ来ると左右に本屋雑誌屋がたくさんある。そのうちの二、三軒には人が黒山のようにたかっている、そうして雑誌を読んでいる。そうして買わずに行ってしまう。野々宮君は、 「みんなずるいなあ」と言って笑っている。もっと当人もちょいと太陽をあけてみた。  四角へ出ると、左手こちら側に西洋小間物屋があって、向こう側に日本小間物屋がある。そのあいだを電車がぐるっと曲がって、非常な勢いで通る。ベルちんちんちんちんいう。渡りにくいほど雑踏する。野々宮君は、向こうの小間物屋をさして、 「あすこでちょいと買物をしまからね」と言って、ちりんちりんと鳴るあいだを駆け抜けた。三四郎もくっついて、向こうへ渡った。野々宮君はさっそく店へはいった。表に待っていた三四郎が、気がついて見ると、店先のガラス張りの棚に櫛だの花簪だのが並べてある。三四郎は妙に思った。野々宮君が何を買っているのかしらと、不審を起こして、店の中へはいってみると、蝉の羽根のようなリボンをぶら下げて、 「どうですか」と聞かれた。三四郎はこの時自分も何か買って、鮎のお礼に三輪田のお光さんに送ってやろうかと思った。けれどもお光さんが、それをもらって、鮎のお礼と思わずに、きっとなんだかんだと手前がっての理屈をつけるに違いないと考えたからやめにした。  それから真砂町で野々宮君に西洋料理のごちそうになった。野々宮君の話では本郷いちばんうまい家だそうだ。けれども三四郎にはただ西洋料理の味がするだけであった。しかし食べることはみんな食べた。  西洋料理屋の前で野々宮君に別れて、追分に帰るところを丁寧にもとの四角まで出て、左へ折れた。下駄を買おうと思って、下駄屋をのぞきこんだら、白熱ガスの下に、まっ白に塗り立てた娘が、石膏の化物のようにすわっていたので、急にいやになってやめた。それから家へ帰るあいだ、大学の池の縁で会った女の、顔の色ばかり考えていた。――その色は薄く餅をこがしたような狐色であった。そうして肌理が非常に細かであった。三四郎は、女の色は、どうしてもあれでなくってはだめだと断定した。

anond:20240930171536

2024-07-22

外国人プロテスタント牧師が言ってたよ

日本神様おかしいです

だって、みんなお正月かにお金を払って願いを叶えてもらおうとしま

本当の神様は、お金と交換で願いを叶えてくれるようなものではありません

日本人って無宗教なようで、都合のいいときに都合のいい所だけ都合のいい宗教信者だよね…😟

ちなみに、普通キリスト教教会運営は日曜のわずかな寄付教会全体で運営費を分配しています

当然、そんなお金だけで暮らしていけるわけもないので、牧師さんとか、牧師さんでなくても家族とかみんなが普通に働いてます

普段サラリーマンをしながら牧師をしている人たちが大勢ます

日本のお寺とか神社は、兼業サラリーマンしなくても食べていけてる人たちがいます

みんな、お墓の維持費とかを檀家さんとかから徴収しています

おみくじお金も取りますし、地鎮祭とかでも多額のお金を取りますよね

教会牧師さんの家を活用したりしています

お寺や神社はもちろんですが、もっと怪しい宗教は巨大な御殿とか仏像とかが建っています、そんなのおかしいです

宗教関係者も、信者さんたちも、みんな同じように毎日働くべきなのです

プロテスタント合理的禁欲資本主義の元になったというような説があります

しかし、今のアメリカでは資本主義から宗教禁欲の要素がなくなり、欲だけになってしまいました

とんちで有名な一休さんだって史実あんアニメのようなものではなく、あれは民の間で伝わった話が元になっています

一休宗純は、托鉢をもらって悟りを目指して修行する、という特権階級のような考え方に疑問を持ち、

自分で畑を耕したり、寺に仕事を持ってきてはみんなで内職をする、というような活動をしていたと聞いています

俺たちは悟りとか修行とか高尚なことをしているのだから働かない、托鉢で生きさせろ、という考え方がそもそも煩悩なのではないでしょうか

一休宗純イエス・キリストは少し似ているところがあります

両者とも乞食のような恰好をして、売春婦障害者を引き連れて、街を練り歩いたりしています

二人とも民衆から隔絶された宗教施設にいるような宗教家ではなく、民衆の元に降りてきて、民衆と共に生活しています

大きな違いは、イエスユダに裏切られましたが、一休さんの凄い所は晩年成功したということでしょう

二人ともどこかアナーキーであり、権威常識に反抗するところも似ているように思えます

私は宗教家としても一休イエス尊敬しています

宗教家は民と同じレイヤーで民と共にあるべきなのです

デカ屋敷王様椅子のようなものに座っている教祖だの自称神だのがいる宗教は本当の宗教でも神でもないのです

2024-07-10

anond:20240709105517

 共産党が怖くないのは事実だけど(今のところ)、

しばき隊ヤバいよね。わかってない方は

李信恵 不起訴処分」で検索すべきかな。

ちなみに在特会桜井誠には、しばき隊と一緒に撮ってる写真がある。

日本人に対する迷惑行為」とも言える。

もともとは、日本帰化するか半島に帰るか考えるために

日韓チャットなどしてた連中が「日本の方がいい」となって

韓国ヤバいという事ではじめた団体じゃないかと思う。

副会長?の新井って方が「コリアンザ・サード」って本を出してる。

利用されたとか書いてるけど、実際は初期メンバー全員がそういう方じゃないかなと。

桜井誠は「芸名」で、高田誠だし。北九州下関ってそういうの多いし。

済州島から流れる下関に着くし、高、安、馬が済州島の三大姓らしい。

もちろん安倍晋三コリアンタウン下関に支持されパチンコ御殿をもらっていた。

 宣伝されてる対立構造を盲信してる方は

一水会鼓舞する会 中曽根」で検索すべきかも。

一水会社民系の右翼団体で、しばき隊SEALDsと似たようなもの

かも知れないけれど、それが自民党の重鎮などともつながっている。

 ついでに言えば、昔の共産党は今の自民党につながっている。

福本邦雄 福本和夫」で検索してみれば分かるけど。まぁ昔の話で

今の共産党とはほぼ関係ないと思うけど。

2024-04-05

あなた戸田恵子はどこから

イクサー2なんだよなあ

アンパンマンというよりは

というか、大杉だろ…

アンパンマン御殿建ってそう…

2024-03-09

名古屋には観光地がない」に対する個人的見解

たびたび話題になるので、自分の考えをメモしておく。

名古屋人が「ない」というのにはそれなりの理由がある。

名古屋」とは

地元民以外が「名古屋」と聞いて想像しているのは「名古屋都市圏 - Wikipediaなのだろうが、地元民はあくま自治体としての名古屋市内かその周辺を指していると考えている。

あと、名古屋人は尾張か否かに妙にこだわる(愛知県尾張三河で二分される)ので、尾張じゃないところはエリア外。

犬山地理的には尾張なんだけど、名古屋市民から見ても「ちょっと足を延ばして観光に行くところ」のイメージが強い。

例えば「川崎観光地には中華街がある」と言われたら違和感があるように、「名古屋には明治村がある」は違う。

そして、そういうのが挙げられる時点で「名古屋には観光地がない」という意識がより強固になる。

「他の都市には何かある」と思っている訳ではない

名古屋ほどの知名度があるのに、観光地はない」という意識がある。

大阪福岡札幌はいろいろあると思っている。

修学旅行の行き先が名古屋」とかないでしょ。

お出かけスポットがないとは思ってない

東山動物園名古屋水族館名古屋市科学館とかが、立派だと思ってないわけではない。

ただ、それを観光地だとは思ってない。

どこの地域でもそうだと思うけど、上記のような施設観光客向けではない。(旭山動物園例外だけど)

個人的には、水族館はもうちょっとがんばれると思うんだけど…(海遊館とか美ら海水族館とか鳥羽水族館とか、観光客にも人気な水族館は少なくない)

遠足社会見学で行くところがたくさんあるのは知ってる。企業系の博物館とか楽しいよね。

名古屋観光地聞かれがち

ビジネス名古屋に行く人が多いので、「(出張のついでに寄れる)おすすめある?」と聞かれがち。大概日帰り。

けど、そういうのは余りない。

ビジネス街は普通の街なので、ただ仕事に行くだけだと特に見るものはない。

ナナちゃん?

みたければみればいいけど、渋谷ハチ公みたいなただの待ち合わせスポットだよ。

そもそも名古屋感」がない

横浜神戸は海沿いの公園に行くだけでその街の風を感じるけど、名古屋にはない。

個人的には、名古屋はいいところだと思ってるけど、現実的には観光地化に何度も失敗している。狭いので。

大阪博多とかはその街独特の風情があるけど、名古屋にはそういうのがないと思っている。

というか、東京が圧倒的すぎて普通繁華街には特に魅力がないと思ってる。地方から来る人なら普通に買い物とかで便利なのでは。

歴史が好きなら…

それはそう。

けど、名古屋人は「三英傑は皆地元を捨てた」と思ってる。

天下取る前の旧跡(普通神社とか)が点在してるので、大きな施設がドーンとあるわけではない。

名古屋城はちゃんと行くならいいけど、近くに寄るだけで(天守に入らなくても)お金がかかるので、ちょっと見に行く感じにはならない。

熱田神宮あたりは最近観光地化しようとしてるらしい。

名古屋飯は…

好き嫌いが別れるので万人にお勧めはできない。

食べ歩きとか酒のつまみとかじゃなくて、がっつり一食分なものが多い。

自分名古屋行くときに一番悩むのが、食べたいものの数に対して食事の回数が足りないこと。

特定の有名店がよく挙がるけど、普通食事をする店でありいわゆる観光地ではない。

大概のもの名古屋駅の地下街で食べれる。

(追記)名古屋城は…

80年代頃の名古屋弄り(ナゴハラ)の筆頭が名古屋城だったので、名古屋人は名古屋城を推さない傾向にある。

名古屋城にはエレベーターがある」は定番ディスりネタ名古屋人の心の傷は深く、今でも市長名古屋木造再建を目指している。

近年、本丸御殿が忠実再現されたりはしてる。

(追記)レゴランドは…

ネット民の目の敵にされてるので…‥

そして挙げられる「マウンテン

あれは学生街喫茶店おもしろメニューだしてるだけなので。

話のネタになると思うなら行けばいいけど、観光地としてお勧めはしない。

稀に名古屋飯の文脈で紹介されることがあるが、それは絶対ちがう。変わった人がたまたま名古屋にいただけ。

(補足)

…いろいろ書いたけど、結局は名古屋人の自虐ネタに過ぎないのだよ。

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(追記)

このエントリーは「名古屋人が『名古屋には観光地がない』といいがちな理由」の個人的見解を書いただけで、「名古屋には観光地がない」と主張しているわけではないです。

十分な時間目的があれば、数日じゃ回りきれないくらい色々あるのはそのとおりだと思います

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(追記)

カニンガムの法則とはよく言ったもので、結果的名古屋周辺の観光情報が沢山集まりました。

せっかくなので地図マッピングしてみたよ。元のTogetterで挙げられてたのも入れたし、ネタ的に挙げられてたのも見境なく入れた。

名古屋観光のお供にご活用ください。

名古屋には観光地がない - Google マップ

2024-01-23

anond:20240123124405

少女漫画がやたらエロかった時代男性編集主導でその路線を進め、作家にはノリノリな人もいれば嫌々だった人もいた

ヒットして乳首御殿を築いた新條まゆも、開き直れるまでには葛藤があったという

そういう例と重ねてしまうのかもしれないが、鬼滅は別にそういうのじゃないと思う

ジャンプ、言うほど全ての漫画おっぱいおっぱいしてるわけじゃないし

担当編集片山達彦はブラクロ呪術担当してるが、他作品テコ入れおっぱい出せと要求されてそうな内容ではない

甘露寺はぶっとんでるが、他キャラ別に引っかかるところじゃないと思うんだけどな

2024-01-12

目白角栄御殿燃えちゃったね

もう4回曲がるだけでは新潟実家には着けないのか

2024-01-10

anond:20240110143926

そらそうよ

賢しげに語る左巻きの愚かな勘違いの最たるもの

かれらはきちんと「実現」してるよ

牛肉は潰されたが、GoToだったり、地域券だったりしてな

飲食業はジャブジャブだったろ?

ワクチン御殿の建った奴もいる

彼らは「実現」してるよ

2023-12-10

上げ底で財を成した人は上げ底御殿を作れるだろう

東京土地をぜいたくに使ったゆとりある空間となります

2023-10-09

anond:20231009071151

ジャップは無教養バカすぎて困る

衰退や滅びとはなんなのかが全く分かってないw


お前も含めた凡人のゴミどもだけが地べたを這い回って苦しむ社会の完成が滅び

凡人のバカ奴隷のおかげで贅沢をしまくれる社会ができることが衰退

壊れた環境絶滅する動物他国国民も全部無視できるおかげで立派な御殿が沢山建つのが滅びだよ

消えてなくなるとでも思ってんのかな

2023-10-08

anond:20231007102042

ゲオといえば住宅街に突如として城みたいな大御殿がでてきて、何かと思ったらゲオ社長の家だったとあとで聞いた。

2023-09-28

ほたて漁師だけど

最初の頃は食べて応援とか言ってたのに

つの間にか自業自得だの補助金乞食だのパブリックエネミー扱いだよ

年収千万もあったんだろとかいうけどそんなことないって

そりゃ漁師の中にはそれくらい儲けてる人もいるよ

〇〇御殿みたいなでっかい家建てたりしてさー

でもほたて漁師全然そんなことないって

ほたてだけにほったて小屋なんつってなガハハ

2023-09-08

anond:20230908164320

統一教会みたいに本国に送金されて御殿建設されるかもよ

まぁ信者たちが幸せならそれでいいのだが

2023-08-29

anond:20230828095111

たぶん中国軍が攻めてきて自衛隊基地周辺の国民が殺されても、多くの日本人は「チャイナリスク」「基地御殿」「中国軍には屈しない」とか言って遺族を足蹴にすると思うよ。

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